第12話 作業所と雨男と晴れ男

 朝が来た。

少し憂鬱だがいつもこの時間帯は調子が悪い。

父が起きてきた。

「おはよう。」

「おはよう。」

私は毎日、このやり取りから一日が始まる。

支度をして、作業所に向かった。

いつもの通勤の道だ。

変わったことと言えば天気が少し曇っていることだ。

「今日の帰頃には雨かな?」


 作業所に着いた。

今日は私の苦手なスタッフがいない。

「ラッキー!」

「今日は楽できそうだ。」

朝礼が始まった。

「おはようございます!」

スタッフが声を張る。

「今日は駅の定期清掃です。」

指導員も少し疲れているようだ。

「そういえば今日は天気が良くないな。」

9時50分になり作業所の利用者は仕事が始まる。

駅の定期清掃のため指導員は運転席、利用者は後部座席に座った。


 駅に着いた。

利用者はほうき、コインパーキングの精算所の清掃のための雑巾。

大きめの水の入ったペットボトル、バケツ、除草用の鎌、ごみ拾い用のゴミ袋。

指導員が声を張る。

「軍手を着けて道具を各自もって作業を始めてください!」

作業を始めて30分くらい経った頃だろうか。

雲行きが怪しくなってきた。

指導員がスマートフォンで、天気のサイトを開き雨雲レーダーをみる。

「皆さん、天気はもちますので作業を続けてください。」

無事、作業が終わり送迎車に乗り作業所に帰ってきた。


 昼からの作業も終わり帰り道のことである。

「天気が怪しい。」

私はそそくさと自転車を漕ぎ自宅へ帰ってきた。

家の中で普段着に着替えていた時のことある。

「ゴロゴロッ!」

ゲリラ豪雨がきた!

雨の降り注ぐ中、父が雨に打たれながら帰ってきた。

 私は玄関に向かった。

「おかえり。」

「ただいま。」

父は雨男である。

今日一日天気が悪かったのは父が原因のようだ。

私は晴れ男である。


いつも晴れのギリギリの時に私は自転車で自宅に帰り。

父は雨に打たれている。

これは、我が家の日常である。

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