冒険者と相席

 レニーは久々に角の席で食事をしていた。

 最近、ライたちやラフィエを気にかけていたこともあり、落ち着いてパスタが食べられる幸せを噛みしめた。


 依頼はとりあえず達成となった。トパーズに昇格したことが実質ソロでの活動の術を教えたことになったらしい。報酬は無事受け取れた。


 ラフィエはトパーズの冒険者として支援課の手伝いを申し出てくれた。以前活動していた地域に戻るかどうかはまだ保留にしている。

 しばらくはロゼアに滞在し続け、ライのパーティーのメンバーとしてやっていくつもりらしい。等級の差はあれど、問題はないだろう。ラフィエがトパーズ以上の依頼を受けたいときは、ルミナやレニーが手伝えばいい。


 一時的とはいえ、己の負担が減ることをフリジットは喜んでいた。受付嬢の中で支援課の業務ができる人間が増えることを祈るばかりである。


 レニーには今やらなければならないことがたくさんあった。

 支援課の業務の手伝いもあるし、パトロンとして支援を続けていかなければならない。新しい武器の料金も毎月払っていかなければならない。


 依頼はいくらあってもいい。


「退屈しないなぁ」


 レニーはエールを飲む。

 今日は美味しいエールだった。


「相席、いいか?」


 声をかけられる。

 レニーは声をした方に目を向けると、こう返した。


「いいよ」


 レニーは今日も、ソロ冒険者として生きていく。

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