おじさん、世界を救う

 エンシェントプラチナドラゴンがテレパシーで語りかける。


『──私をクリエイトしなさい』


「え? 何、言ってるんだよ、エンシェントプラチナドラゴン! そんなことできるわけ──」


『あなたはあなたの世界を守りなさい。魔王の前では、いずれ私も吸収されてしまう。クラウンを倒したとしても能力解除で消えてしまうでしょう。だからどうか最後にあなたの力に……。』


「エンシェントプラチナドラゴン……」


「エンシェントプラチナドラゴンさん……」


「えんちぇ……こほん、エンシェントプラチナドラゴン……」


「今、真面目な場面、かも!」


「噛んだのは仕方がないでしょーが!」


「分かったよ。お前の気持ち受け取ったぜ、相棒!」


『──それでいいのです……。我が主人よ……。さぁ、この力を今こそ!』


「──クリエイト”ソード”……」


 俺は万感の思いでクリエイトを発動させ、光り輝く剣を手にする。


 それは魔を滅する破邪はじゃの剣。


「おじさん、お願いします!」


 うららは魔力障壁を俺にまとわせる。


「アンタしかいないわ!」


 リッカはありったけの魔力を俺に託す。


「世界を救ってきてほしい、かな!」


 レンはギターを鳴らし、様々なバフを俺に付与する。


「────ああ! 行ってくる!」





俺は外に出て行ったクラウンを飛んで追う。


 俺はエンシェントプラチナドラゴンの剣の効果で背中に白い翼が生えている。


「──とらえた!」


 邪悪な気配を察知し、クラウンの元に行くと、今まさに極大な魔法を地上に放とうとしていた。


「追ってきたのカ? 虫ケラだと思って見逃してやったものヲ。そんなに死に急ぎたいたら、いいヨ。絶望を見せてやろウ」


《おい、スカイタワーの上空で誰か戦ってるぜ!》

《あれはクラウンと──おじさん!?》

《どうなってんだコレ!?》


「貴様のクリエイトにはほとんどの技が無効化されル。ならば肉弾戦でケリをつけるまでダ。『デビルズ・フィスト』」


 音速を超えた神速の拳が何万発も俺に降り注ぐ。


 キンキンキンキンキンキンキンキン!


 俺はそれを全て剣でさばく。


「──その剣ハ……」


「俺の相棒さ。お前が唯一、りっすることの出来なかった力だ!」


「オノレェェェ! しかしこれほどの威力ならばクリエイトできまイ! 終末術式・起動『ラグナロク』!」


 終末を告げる神域の魔法が俺に降り注ぐ。しかし──


「──クリエイト“アーマー”」


 終末すら己の身にまとい、俺はクラウンに立ち向かう。


「おおおおおおおおおお!」


「や、やめロ! やめロ! 『デビルズ・ストライク』!」


 攻撃は鎧の前に阻まれ、全くの無傷。


《やっちまえ! おじさん!》

《行けーーーーーー!》

《世界を救え、おじさん!》

《うおおおおおおおおお!》

《頼むうううううううう!》


「終わりだ!───『龍煌波斬りゅうこうはざん!』


「ガッ……!」


 俺はクラウンを一太刀で切り伏せる。


 クラウンは元の姿に戻り、そのまま落下していく。


「あア、また独りになっていク……」


「まぁ、気絶していても冒険者なら死にはしないだろう。後は国の仕事だな」


 国には冒険者を捕獲するための封魔石というマジックアイテムがある。


「────終わったよ。エンシェントプラチナドラゴン……」





「勝ちましたね! おじさん!」


 うららが飛びついてくる。


「アンタならやれるって信じてたわよ!」


「大勝利、かも!」


《おじさん、ありがとう!》

《うおおお! 英雄の凱旋がいせんだぁ!》

《おじさん、立派になったなぁ……》

《ファンとして誇らしいぜ!》


「さよなら、エンシェントプラチナドラゴン……」


 俺は剣を解除する。せめて、みんなの前で終わらせたかったから。────が


 ボンっと言う音と剣が“白銀の髪の美少女”に変化した。


「え!?」


 するとその女の子が俺に抱きついてきて──


「ボクだよ! エンシェントプラチナドラゴンさ! クラウンを倒した時に大量の魔力が逆流して、実体化しちゃったみたいなんだ! ご主人、これからもよろしくねー!」


「えええええええええ!?」





「おじさん、チャンネル登録者数1000万人越えおめでとうございます!」


「おめでとう、おじ!」


「おめでとう、かも!」


「ありがとう!」


──『おじさん』チャンネル登録者数1200万人


《やったぜ!おじさん!》

《おめでとうー!》

《コングラチュレーション!》

《ここまでいろいろあったな!》


 今まであったことを思い出す。


 うららをドラゴンから助けたこと。リッカと面接をしたこと。レンのライブに行ったこと。そして、そして──


 全てがあっという間だった。


「でもおじさん、配信者の道はまだまだこれからですよ?」


「この天才大魔導士リッカ様がいるんだから当たり前よね!」


「まだまだ冒険して、いろんな曲や歌詞を作りたい、かも!」


「あぁ、俺たちの冒険はまだまだこれからだ! みんなついてきくれ!」


「はい、どこまでもついていきます!」


「あったり前じゃない!」


「うん、任せて欲しい、かも!」


「ボクもいるからね!」


 エンシェントプラチナドラゴンも新しく俺たちのパーティ入りした。


 よしこれからダンジョン配信だ!





《おじさん視点》


 あぁ、最初は孤独だと嘆いていたあの頃と違い、なんと温かい人達に囲まれているのだろう。


 金がいくらあっても満たされなかったのに、今はこんなにも……。


 思えば俺たちはみんな孤独だった。だから今この瞬間が、尊いものだと感じることができる。


 クラウンには仲間がいなかった。もしかしたらアイツも孤独にさいなまれていたのだろうか? もし一歩間違えば俺もアイツみたいになってしまったのだろうか?


 いやこれ以上は考えても仕方がない……。


 さてこれからパーティだ。めいいっぱい仲間たちと“今”を楽しむとしよう!

 



《完》



──────────────────────────────────────────


今までこの作品を読んで頂き、本当にありがとうございました!

不慣れな初めての連載ですが、なんとかおじさん達の物語を完結させることができました。

これもみなさんの応援のおかけです!

PV、レビュー、フォロー、コメント等にはたくさんの力をもらいました。

応援がなかったら、書き続けられなかったと思います!

ちなみに筆者の一番お気に入りの回は執事服の回です笑

本当にありがとうございます。

また次回作があった時は、また見てくださると嬉しいです!

ではまた!






 



 



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【完】底辺おじさん、大人気アイドルを救って“大バズり”してしまう〜おじさんとコラボしたいってマジで言ってるんですか?〜  腹ペこ。 @koba5000

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