15話 勅命
ソイル邸での大樹の光が確認されてから2日が経った帝都マンチニール城では、帝王からの召集に応じ、続々と帝国騎士上級一等、下級一等が集まっていた。
煌びやかな玉座の間、肘を付き見下ろす様に座るマンチニール帝国38代目帝王、ドーノス・プッロ・アンチニル=マンチニールの御前には8人の帝国騎士が中央を向かい合うように左右4人ずつ並び立ち、そして中央には1人跪く帝国騎士の姿があった。
何の成果も無く戻ったガルドは、跪き深々と頭を下げる。
「――申し訳ございません」
溜め息混じりに帝王は口を開く。
「――その報告は既に聞いている……まぁ良い、今のお前は防衛部隊の二番手なのだから」
玉座の間の扉がゆっくりと開かれ案内人が帝王へ報告をする。
「失礼致します!
――
――
――
――
――四柱聖剣の皆様がご到着致しました!」
「そうか、通せ」
帝王は左手を払う様な仕草をし、ガルドと案内人を下げさせる。
四柱聖剣と呼ばれる4人がバラバラと詫びれもなく玉座の前まで歩くと、その中の若い男性一人が声を荒げる。
「この前報告を聞いたからよぉ!一々集まらなくてもいいだろうが?!」
「今回はそういう訳にもいかないのでな、この場に上級、下級共に一等以上の者だけを集めさせてもらった。――バルサ・ソイルの件と同様……この帝国の未来を左右する事だ」
「樹が光って、喋ったってだけだろ?」
「――シロフィト……無礼だぞ」
「事実を言っただけだろーが!」
もう一人の四柱聖剣、年長者のコルダが注意をし、シロフィトは食い入るように言葉を返した。
身体の小さい少女の様な四柱聖剣の一人が、その様子を見てシロフィトを
「みんなで集まるの久しぶりだから嬉しくて
「んだと?――チビはすっこんでな!」
「――身長しか
「――シロフィト……いい加減にしろ、アーケも、帝王の御前であるぞ」
元々優しい声色のコルダが少し強く再度注意をすると2人は何も無かったかの様にそっぽを向き黙った。
ここまで一言も話さなかった四柱聖剣最後の一人、ニル・ソニアは黙る2人を見ると袖で口を覆いクスクスと笑っている。
その忍び笑いに釣られたシロフィトは食って掛かってしまう。
「――おい!ニルさんよぉ!?そもそもの発端は
それを聞いたニルはシロフィトを睨み、冷静な口調で反論する。
「バルサが犯行に関与している証拠は未だに有りません。
「あぁ?!――未然に防げねぇのは身内から裏切り者が出たって事だろうが!あそこに居るバルサの息子も、樹が光って喋ったとか言う意味不明な報告を寄越しやがって!親子共々胡散臭ぇよなぁ?!」
「――黙れないのであれば、此処から消えるか?」
コルダの声色から優しさが消え、再三注意したシロフィトの頭に手を掛けようとする。
「――もうよい……!」
帝王の圧のある言葉にその場にいる全ての者は姿勢を正し、四柱聖剣は首を垂れる。
「改めて、騎士選抜準備、バルサ・ソイルの捜査と忙しい中、四柱聖剣、騎士団の全上級一等及び下級一等、良く集まってくれた。」
四柱聖剣以外の帝国騎士は全員跪き、深々と頭を下げる。
「先ず、バルサ・ソイル捜索の状況はどうなっている?」
帝国騎士を代表する
「報告させて頂きます。未だ発見はできず。各、帝国最端を調べた混成部隊の情報を纏めた結果、国外逃亡は未だしていない可能性が高く、従属国内、あるいは国境に掛かる危険地帯に身を潜めていると思われます」
「――では、混成部隊を解除し、国外逃亡を阻止する為、
「――
四柱聖剣ニル・ソニア=オベイロン
四柱聖剣シロフィト・サウイ=スベイン
各代表者4人が声を合わせ返事をする。
「――そして問題なのが大樹の光だ……これは全部隊が同じ様な現象に警戒をすると共に、
――「
この場にいる全ての者が深々と頭を下げ、声を揃える。
帝王は疲れた様子で即座に玉座を離れ、奥の寝室へと繋がる扉へ向かい、姿を消した。
帝王を見届け、続いて四柱聖剣が玉座の間から退室し、後へ続く様に帝国騎士達もゾロゾロと退室を始め、各隊の専用の客間が用意されている為、各々の部屋へ一言も声を交える事なく向かって散って行く中、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます