どこへ行っても。

識織しの木

どこへ行っても。

なけなしの勇気優しさ心遣いぜんぶひとりのためだけにある


折り紙の独楽をもらって回さずに眺め眺めて菓子箱の中


遠くても炎清かに揺れ祈りせかいでいちばんしあわせでいて


勧められ捲る頁の隅々にきみの気配を掬おうとする


いつまでもどこへ行っても隔たりは薄いレースのふわりカーテン


話したくなることばかりじゃない日々に結ぶ瞳は強く紡いで


綿のようふわふわ風に乗って浮く強さ優しさもてあます僕


海色の水槽ジェリーフィッシュ舞う羽二重餅のきみの微笑み


きみの隣にずっとは居られない世の残酷を噛む涙棄て


曖昧に微笑むきみの本心はきっといつもの秘密主義だね


永遠の二文字がどこにもないことを知っていたって狂って願う


無関心無愛想など消え僕はきみだけにどうしても優しい


地図だって読めないくせに新幹線乗ってきみにはあいにゆきたい


言葉では何度言っても足りっこないでも届けたい伝えていたい


ありがとうあの日からずっと忘れてない受け入れてくれたことへの気持ち


最期にはふたりがいいと言ったきみ瞳の強さ僕はついてく


一生の良い出会いを凝縮してやっと大切なきみに出会えた


天気予報必ずふたつチェックする僕の地域ときみの地域と


通学路ずっと続けときみの手を繋ぎのろのろ進むしあわせ


図書室で待ち合わせして帰る日は上履きに綿くっついている

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