旅行出発

ここ数日の記憶がないきがする。


整備点検に出していたバイクを前日に取りに行き、当日の行きにガソリンを満タンに入れる。



皆の集合時間1時間前、クラスの七割が既に集合場所に来ていた。


早すぎないか? 晴と俺は長時間バイクの為に休憩時間も考慮して早めに出るが、他の皆はあと1時間は待つぞ?


俺が集合場所に姿を表すとみんなが驚いた表情でこっちを見る。


「だれ?」


「バイクとかすげぇ」


「晴じゃね? ほら、あいつは交通費削減するって言ってたし、交通機関は使わないって言ってたし」


「なるほど」


「かっけー。でもバイクなんか持ってたっけ? 借りたのか?」


何か勝手に晴ってことにされた。皆が興味津々にこっちを見てみると後ろから春がきた。


「はよ〜〜」


「え?」


あくびしながら晴が来たので俺はヘルメットを取る。


「日向のやつバイクなんか乗れたのか」


「あいつトロイから事故るんじゃね?」


「日向の癖に生意気な」


やっぱりイケメンっていいなぁ………。


「ほい米田。これ頼む。例の物もあるぞ」


そう言って晴はクラスメイトに荷物を渡す。米田も荷物を持つ報酬として何かを受け取っていた。


「お前どんだけ金使いたくないんだよ……」


「ふふふ、これで交通費がタダ、荷物輸送費もほぼゼロ。これでぎり予算内だ」


晴が俺のバイクに乗ることを知るや否や不安を零すクラスメイト達。ミンナの前では上手く行かないからそう思われるのもしょうが無い。


「雨宮君本当に風丸君の後ろに乗るの? 危ないよ」


「大丈夫だ。こいつ中学校の頃から私有地で乗り回してたし俺もよく後ろに乗ってる」


「でも、ほら、今日は遠いし、事故も起きないと限らないし、そうだ、私が交通費出そっか? 」


花咲さんは晴をさそう。


「返せなさそうな借りは作らない主義なんで」  


晴は断る。花咲さんは残念そうにする。俺を睨むもそもそも俺がいなければ晴が来ないからか言わない。


「スマンが俺達は先行かせてもらうわ」  


俺達は再度ルートを確認したあとにバイクに乗り込んで出発する。


 


「二人乗りじゃ高速道路走れないの残念だな」


「しょうがない。まだそれができる年齢じゃ……」


少し走るとたまたまアリシアと遭遇した。アリシアは俺のバイク姿を知っているためにすぐに気づいて止まる。俺もつい止まってしまった。


「……えっと、その、おはよう」


「あ……うん。おはよう」


それ以上の会話は無い。気まずい。あの事件があっていらい、まともに会話すらできてないまま一週間以上が経ってしまった。


「……急がないと」


俺は逃げるようにバイクを走らせる。晴は呆れたようにため息を付いた。


「なぁ、まだ仲直りできてないんかよ」


「………まぁ」


「お前はいつも勝負どころっつーか、大事な場面で上手く行かないよなぁ」


「ぅ…………」


晴に痛い所をつかれる。だけどどうしようもない。ずっとこうだ……いつからこうだったんだっけ? 小さい頃からそうだったけど、最初っからじゃなかった…ような気がする。


「でもさ、変わりつつはあると思うよ俺は」


「?」


「だって、必死になればできることはわかった。なら、普通のときじゃできない通りは無いんだ。何かきっかけがあれば人は変われるんだ。きっかけは誰にもわからない。ロバートダ〇〇ーJrが何回投獄されても辞められなかった薬物をチーズバーガー1つで辞められたように。自分だけのきっかけがある。だから動いてみろよ。なんでも良いから。そうすりゃ仲直りのきっかけが不意に見つかるかもしれないぞ」


………晴の言うとおりだ。俺は今日まで何もしなかった。だから気まずいままだ。嫌われたかもしれない。だけど、それでも行動は起こさなきゃいけない。

 

「……晴。協力してくれ」


「OK」


「うまくいくかな」


「何言ってる。最終手段があるだろ」


「最終手段?」


「スカイマンCO」


「それは最終手段に………あ」


どうやら俺は会話に割いてた分の意識はスマホナビを見る分だったのに今気づいた。


「すまん道間違えてずっと直進してたわ」







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陰キャの俺が世界的有名な俳優の娘に惚れられている件について Edy @sakananokarumerayaki

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