75話 加入希望者
パレード終息から3日後。
いつも通りギルドに向かうと、何故かギルドが多くの人間で溢れ返っていた。
「え……?なんでこんなに人が居るんだ?」
誰だよ、こいつら。
こんな底辺ギルドに人が来る事なんてない。
ギルドメンバーである
あの後、神出奇没を使ってダンジョンから抜け出した俺たちは激戦の疲れを癒す為に、2日間の休みを取った。
俺たちが休んでいた間に何かあったのか?
不思議に思いながらもこのまま此処にいては仕事が出来ないので神出奇没を発動し、人混みを無視してギルド内へと転移する。
転移先には珍しく疲れ果てた様に机に突っ伏した斗真の姿があった。
「珍しく疲れてるな。外のあいつらが原因か?」
「ああ…進か。ったくお前らがダンジョンで活躍したせいで加入希望者が山ほど来てんだよ。処理するこっちの身も考えろってんだ。」
「なに!?じゃあ外の奴ら全員うちのギルドへの加入希望者って事か?よかったじゃねえか、これでこのギルドの評判も良くなって弱小ギルドから抜け出せるんじゃないか?」
ギルドの評判というものはダンジョン探索においては大した意味を持たないが俺たち探索者の仕事は何も探索だけではない。
大手ギルドが得られる恩恵、それはギルド本部から発行される特殊クエストの受諾権、そして本部から実力を認められたギルドのみで開催される最強のギルドを決める大会【最強ギルドトーナメント】への参加券の2つを得ることが出来る。
前者の特殊クエストはダンジョン内で何かしらのイレギュラーが発見された場合、実力のあるギルドを送り込み探索者の安全を確保する目的で発令される。
特殊クエストの敵は基本的に情報のない未知なる相手となるので実力のある大手ギルドにしかクエストを受ける権利は与えられない。
そして後者の最強ギルドトーナメント。
これで得られるものは多額の賞金と名声だ。
このトーナメントは全世界に放送される。
上位に入賞したギルドや活躍したメンバーなどを見てギルド加入希望者が後を経たなくなるという事例も珍しくない。
まあこの様にギルドの評判が上がれば仕事の幅が広がるというメリットがある。
そしてその評判を上げる簡単な方法がメンバーの数を増やす事。
今の俺・美玖ちゃん・キララの3人だけだと戦闘に気を向けるだけで精一杯になるが人数が増えればサポート要員として戦闘外のサポートを担当するメンバーを連れて行く事だって出来る。
サポートがあるかないかでダンジョン攻略の効率が変わるというのはよくある話だ。
故にこの大幅な人員増加のチャンスは大変喜ばしい事なのだがどういう訳かマスターである斗真は加入希望者を拒絶していた。
「あいつらは雇わねえよ。お前らだってまだランク3の初級クラスの探索者なんだぜ。誰が面倒見るってんだよ。こういうのはランク6くらいの上級者クラスが何人かいて漸く指導出来るんだ。そうだな…今うちに入れるとしたら後3人ってとこか。パーティバランス的にもそれが限度だな。」
後3人…つまり俺たち3人を含む計6人で1つのパーティを組んでダンジョン攻略を進める。
そしてランクアップしていく事で徐々にメンバーを増やしていくって訳か。
確かに俺たちはまだ他人の面倒を見れる程余裕がない。
今は自分たちのことに専念した方がいい。
「あの中から3人選んだりしないのか?せっかく来てくれてるんだし逸材がいるかも知れないぞ。」
「うーん。まあそうだな。2人は候補がいるから残り1人は探してみるか。ったく、面倒だなぁ…」
そういうと斗真は気怠そうに立ち上がり外に並んでいる大勢の人混みの中へと消えていった。
三進二退~3歩進んで2歩下がる?レベルは中々上がらないけどランクアップボーナスで無双します~ 森林火林 @sou1234
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。三進二退~3歩進んで2歩下がる?レベルは中々上がらないけどランクアップボーナスで無双します~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます