第7話 最大のプレゼント

 彼から1日開けて欲しいと言われたからその通りにした。

 彼の休みの日と私の休みの日をとるのは本当に苦労する。

 

 会社が違うともちろん繁忙期の時期がずれている。

 これから彼は一年で一番の忙しい時期に入るはずだ。

 互いに会社の同僚に頭を下げ、何とか休みのシフトを調整してもらう。


 ☆☆☆

 こんな高級そうな場所に来られるなんて人生でそうはない。

 

 三つ星レストランで食事したときに結婚してくださいと言われた。

 さすが彼がセレクトしたお店。

 品格もプロポーズに値するお店だった。

 女子の夢がいっぺんに叶ってしまう。

 シンデレラみたいな扱いを受けて気分はとても良い。


 婚約指輪を渡されて、

「結婚してください」

 「もちろん!」


 答えはその一択でした。 

 沢山の人とのご縁によって引き合わされた私達。

 友人の紹介がなければ出逢うことのなかった彼。

 これから欠点も良いところも更に見えてくるんだろうな。 

 


 ☆☆

 それから春が来て夏が来て、秋が来て、付き合った記念日になった。

 違う会社で働いてはいる。私はパートになった。

 年収も下がってしまったけれどもしかたない。

 彼を支えるのが今の私の仕事だと思うから。

 こう思えるからこそ、日本は男社会が残っているんだろうな。


 自分役目が家庭を守ることだと思えたから、炊事洗濯は完璧にやってきた。

 でもこれからは少し力加減をしないといけないかもしれない。


「ねぇ、私からのプレゼント」

 リビングのテーブルを見えるように体をずらす。

 妊娠検査薬陽性と婦人科の診察カード。

「今度は旦那様も来てって」

 二人で新しい家庭を作っていこう!


 END

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ビターチョコレート 完 朝香るか @kouhi-sairin

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