361 揉み放題、揉まれ放題

「あらヴァイ、敵情視察?」

「みたいな感じです。お久しぶりですね」

「ヴぁ、ヴァイスくん!? ちょ、ちょっとお姉ちゃん一旦とめて!?」

「ここで止めたら全てが潰えるわ。もう少し、もう少しなのよ! いくわよエレノア!」

「え、ええちょっ、ちょっと!?」


 するとシエラは、何を思ったのか思い切りメイド服を上にあげはじめた。

 たゆんたゆんが上にのし上がり、そして――。


「んぁっぁっああ、お姉ちゃんそこっ、だっ、だめっ」

「な、なんかここから上がらないわ! ど、どうしてよ!?」

「いぁっあん、お姉ちゃん、だ、だめだっってえっ」


 ノブレス魔法学園の制服は、パリッとした襟付きで分厚い。

 だがエレノアはそれを脱いでいた。中は白いシャツ、気のせいだろうか。

 たゆんたゆんの一部分が、なぜか膨らんでいく。


 それと共に、エレノアの声のオクターブが上がった。


 そして、シャツのボタンがはだける。


「お、お姉ちゃんやばい」

「もういけるわ! 我慢よ! 何事も我慢!」


 もう少し、そんな神の声が聞こえそうなとき、俺の視界が覆いかぶさられた。


「ダメよ。まだまだお子ちゃまには禁止」


 その声には聞き覚えがあった。

 背中にちょっとだけ、何か柔らかいものが触れる。


 視界がふたたび戻ると、メイド服を着ながら妖艶な姿で倒れこんでいるエレノアがいた。

 シエラは満足げに額の汗をぬぐって、嬉しそうだ。


「これで完璧よ! ヴァイ、みなさい! これが最高の萌えよ! あれ? エレノア? どうしたの? 何で悶えてるの?」


 色々ツッコミどころ満載な上に可哀想だが、倒れたエレノアメイドも悪くない。

 後ろを振り返る。俺の目を隠していたのは、やはりエヴァ・エイブリーだった。


 メイド姿ではなく、まだ制服みたいだ。といってもかなり気崩しているが。


「こんにちは先輩」

「ふふふ、あなたって真面目ねえ。学園祭もトップになりたいのかしら?」

「そのつもりです。一番強敵になりそうなクラスの確認をしたくて」

「あら殊勝な心掛けねえ。でも残念、私のは特注だからまだまだ届くのが遅いらしいのよ。それに、秘策もあるしね」

「秘策? なんですかそれは?」

「教えないわ。ねえ、シエラ先輩っ」


 ちなみにシエラはまだ卒業しなくてだらだらしている。エレノアはそれに付き合っているらしい。

 エヴァは先輩として二人を敬っているみたいだ。

 それを聞いたシエラが、まんざらでもなさそうにしている。エレノアは、まだ悶えている。


「どうせなら勝負よ、ヴァイ。私たちが勝ったら一つ言うこと聞いてもらうわ!」

「お、お姉ちゃんそれは……」


 勝負か。いや……これはチャンスかもしれない。

 ウィッチ姉妹からまだまだ得られることはたくさなる。

 不利だとしても逃げるわけにはいかない。


「いいですよ。その代わり、俺が勝ったら言うことを聞いてもらいますからね」

「乗ったわ! エレノアのこの豊満な胸を、いくらでも揉ませてあげるから!」

「お姉ちゃん、や、やめて!?」


 たゆんたゆん、たゆんたゆん。まったく、凄まじいな。


「ふふふ、私の胸が揉みたいのならいつでもどうぞ?」


 最強先輩にそう言われて触れるやつはいないだろう。

 そもそも、許可を得ても怖すぎるが。


「勝ってからにしますよ。胸は揉みませんが」

「ヴァイ、私の胸は絶対に死守するわ!」

「お姉ちゃん、胸ない――」

「タユノア! あなたそれ禁句よ!」


 まったく、相変わらず仲のいい姉妹だ。


 それから俺は色々なクラスを視察して、中級生の棟へ戻った。

 だがなぜかざわざわしている。すると、リリスが走ってきた。


「ヴァイス様、おっぱいを賭けたって本当ですか!? 勝ったら揉み放題、負けたら揉まれ放題って!」


 さすがノブレス。

 噂もとんでもないことになるんだな。

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