354 なでなで

「主様との記念すべき初陣、それを私が穢してしまいました……ああ、申し訳ございません」


 デビを使役したときと同じで、できるだけマリスの状態でいてもらっている。

 魔力の消費がごく小さくて済むからだ。


 癒しと加護と破壊の衝動がない分、戦闘力は著しく低いが。


 とはいえ、人間語がわかるとちょっと面倒だな。


 そもそも、マリスがいなければ初めで堕とされていただろう。

 感謝はすれど責める気なんてない。


 ……ったく。


「お前がいなきゃそもそもミルク先生を引き分けに持ち込みこともできなかった。……ありがとな」


 一応周りをきょろきょろしてから、できるだけ小声で言った。

 するとマリスは布団をバッと弾け飛ばして、俺に抱き着いてきやがった。


 こいつ、結構なたゆんたゆんだな……。


 デビのときもこすりつけてきていたが、マリスの状態だとちょっと目のやり場に困るだろうが。


「何というお優しさ! 主様、私は一生あなたについていきます!」

「お、おう」

「あ、あのいつものように、なでなでは……」 


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