353 学園祭??

 教員との戦いは熾烈を極めた。

 ダリウスの凄まじい体力と筋力、クロエの魔法と知力、ココの圧倒的な守護、そして、ミルク先生の絶対に負けられないという意思。


 結果的には敗北したが、不思議と落ち込んではいなかった。

 以前の俺ならば、きっとうだうだと負けた原因を探っていただろう。


 いや、下は向いていなかったが、どうやって勝てればいいのかは考えていた。


 そんな気持ちで剣を振っていたら、主人公野郎アレンが何を思ったのか勝負を挑んできやがった。

 そして気づかされた。


「ヴァイス、僕はもっと頑張るよ」


 こいつは俺に何度負けた? なのに、ずっと前を向いて強くなってやがる。


 つまり敗北なんてものは、誰しもが経験するものだ。

 勝ちづづけるなんてありえない。


 俺は確信した。いずれミルク先生も超えることができる。


 なら、いつまでもくよくよしてられない。


 そうだよな主人公野郎アレン――。


「うう……主様が負けたのは私のせいです……ぐすん」


 すると、めそめそと泣き声が聞こえた。いや、鳴き声になるのか?


 今は自室だ。日課のシャワーを終えると、デビ――いや、マリスがベッドの上で布団にくるまりながら涙を流していた。

 

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