350 成長のために(アレン)

「すげーなヴァイス」

「あのミルク先生と引き分けだろ?」

「先生四人相手にも対等に戦ってたらしいぜ」


 みんなから称賛の声が上がるも、ヴァイスは不満そうだった。

 後から知ったことだが、ミルク先生は勝負をかなり急いでいたらしい。


 理由は、残った生徒たちがヴァイスと合流しない為だったという。


 実際、引き分けのすぐ後に、カルタさんとトゥーラさん、オリンさんが到着したとのことだ。

 もし短期決戦をしていなければ、ヴァイスは生き残ってダリウス先生との戦いに参戦していただろう。


 そうなったらこっちが勝っていた可能性は高い。


 結果だけ見れば、ヴァイスは誰よりもすさまじい功績をあげた。

 先生たちと戦って倒されず、さらにミルク先生と引き分けに持ち込んだ。


 同じ学生のヴァイスが、S級冒険者でもあり、王都で最も強いと言われた人とだ。

 これは、誰もできない偉業だろう。


 シンティアさんたちは、祠の防御魔術を統括していたココ先生を倒した。

 セシルさんに至っては、たった一人でクロエ先生を。

 

 みんな凄い。


 反対に僕はたいしたことがなかった。結局、誰も倒せなかったのだ。


 ダリウス先生は、それでも前に進んでいるから安心しろといってくれた。


 だけど、本当進んでいるのだろうか。


 僕はヴァイスに一度も勝てず、先生にも勝てず、今だ足踏みしている。


 模倣がなければ、僕は本当に大したことのない人間だ。


 いや、あってもか……。


 寮に戻っても眠れず、僕は一人、外に出た。


 市街地まで空を飛んでいこうかと思ったけれど、なんだか魔法を使いたくなかった。


 ゆっくり歩いて辿り着くと、そこには彼がいた。


 ――ヴァイス・ファンセント。


 彼は汗だくで剣を振っていた。


 表情は既に切り替わっている。


 前を向いて、ただ勝つための研鑽を積んでいる。


 どうして、なぜそこまで強いのか。


 僕は、どうしても知りたい。


「――ヴァイス」

「……はっ、誰かと思えばめずらしい顔だな。なんだ、星でもみにきたのか?」

「勝負してほしい」


 僕の問いかけに、ヴァイスは少しだけ驚きをみせた。

 だがすぐに魔力を漲らせる。


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