348 勝負の結果⑥(アレン)

 僕は甘かった。

 知らなかった。わからなかった。気づかなかった。


 いつも優しくて頼りになる先生が、ここまで強者だったなんて。


「アレン、お前は強い。それに志もある。だが、本当の戦場を知らない。境遇は知ってるさ。悲しい出来事で俺も心が痛む。けどな、戦場では悲しみに打ちひしがれる暇なんてなかった。その中で、歯を食いしばって生きるしかなかった。俺やミルクが楽しそうなのは、そう・・することが強さの秘訣で、心を保つ為でもあった。ミルクがお前に楽しめと言ったのは、その経験からだ」


 デュークが放った攻撃を、ダリウス先生は真正面から叩き落した。シャリーが仕掛けた罠を、力技ですべて叩き切った。

 僕は模倣を使って、ありとあらゆる攻撃を仕掛けた。


 それこそ、全てを込めた。


 けれども、叩き落されてしまったのだ。


 魔力はほとんど残っておらず、今辛うじて生き延びているのは、二人が助けてくれた。


「……どうやったら、たちはあなたに勝てるんでしょうか」

「はっ、その貪欲さは嫌いじゃないぜアレン。強くなるのってのは簡単じゃない。手鳥足取り教えることには限界があるし、言語化できないことはたくさある。共通しているのは、諦めないことだ。俺は何度も敗北を経験した。お前もそうだろう。勝ち続けているやつなんていない。表面上、そうみえるだけだ」


 そして僕は、思い切り最後の力を振り絞って突撃した。

 エヴァ先輩の力はとてつもなく強大で、おかげであのニール先輩ですら倒すことができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る