347 孤高の最強➄(ヴァイス)

 思えば今まで受けに徹したことはなかった。

 そして、後ろからガラス魂が響き渡る。


 受け止めることはできた。それに、マリスが祠を攻撃するはずだ。


 なのにミルク先生は見向きもしない?


 振り返ると、同時に驚くべきものをみた。


「――主様!」


 祠が、強く燃え盛っているのだ。

 マリスが攻撃を仕掛けたが、問答無用で弾かれる。


 魔眼と観察眼で確認すると、およそ数分で燃え尽きてしまうとわかった。


 ミルク先生も人の子だ。身体は二つじゃないし、防御シールドが得意なわけじゃない。

 だが、魔力と祠を燃やすことで圧倒的な防御力を付与したのだ。

 

 ――時間と引き換えに。


「ヴァイス、私はこうみえて仲間を信じてる。悪いがココやクロエは職場の仲間だ。だが、ダリウスは違う。やつとは何度か戦った。そして共に血を流すこともあった。ここでお前を倒せば、奴を倒せる奴はいない。だから、私はお前を倒す。賭けはしない。この戦いは勝負ではなく、試験だからな」


 驚くことに、ミルク先生は生き残るつもりがない。

 考えもしなかった。


 圧倒的なプライドを持つ先生が、死を覚悟していたことを。


 教師陣に生存ポイントはない。

 

 誰か一人でも生き延びれば勝利だ。


 そしてそのとき、魔法鳥が叫んだ。


 ――【シャリー・エリアス脱落。デューク。ビリリアン脱落】


「――今のアレンではダリウスに勝てないよ。あいつは、私と違って優しく・・・ないからな」


 そのとき、鍛錬をしていた時代のミルク先生の言葉を思い出す。


 ――死ぬ気で魔力を漲らせろ。


 その言葉通り、ミルク・アビタスは、弟子の俺を倒すことに全力を出すため、死ぬほどの闘気の魔力を身にまとった。

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