330 最強の守護②(シンティアside)

「これは……ヴァイスの――」

「ノブレスの教員は得だね。生徒からも教えてもらえるんだから。といっても術式はオリジナルだよ。誰でも扱えるわけじゃないが、吸い取ることで弱点をカバーできるなんて、最高だねえ」


 癒しの加護と破壊の衝動が、地面に無詠唱で展開されていました。

 いや、私の強い力が、あえて妨げになって気づきませんでした。


 これは誤算です。


「シンティアさん、どうしますか?」

「……攻撃はやめません。引き続き同じです」

「わかりました。私も援護します」


 ですが私は、リリスの言葉を制止して続けました。

 ルナさんも同じく信じてくれました。隙を見て攻撃を繰り返し、防御を破壊していく。


 ココ先生は不思議そうでした。なぜ無駄なことを繰り返すのかと思っていたのでしょう。


 しかし、その答えは地道に繰り返されたことで、ようやく表れました。


「……そういうことか。シンティア、思っていたより策士なんだね」

「ふふふ、そうですよ。私は、ヴァイスの婚約者ですから」


 私たちの魔力が半分ほどになってしまったとき、地面が崩れていきました。

 蓄積された魔力は周りを傷つけていきます。


 やがて耐え切れなくなった地面が崩壊、雪崩のように崩れると、祠が落ちていきます。


 私は杖を召喚して浮遊、ルナさんは黒球に乗り、リリスは崩れた岩を伸び乗っていました。

 

 しかし落ちていく祠に浮遊魔法と防御術式を付与したのは、他の誰でもないココ先生です。

 しかし、今までで一番力を使っています。


 これならもう、余裕はないはず。


「さて、ここからが本番か」

「はい。私たちは魔力が切れるまで、同じことを繰り返します」


 ヴァイス、見ていてください。

 私は、真正面からココ先生を倒します。

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