329 最強の守護(シンティアside)

「思っていたよりも到着が早くてびっくりだよ」

「あら先生、私たちもですわ。その様子だと、ヴァイスを止められなかったのでしょう?」

「そうだな。思ってたよりも強かった」


 私とリリスとルナさんは、西の祠に到着していた。

 けれども、そこに立っていたのは、ココ先生。


 既に防御の術式を何重にも付与していて、攻撃は一切通りそうにありません。

 けれども、心臓が悪く、体力がない事を事前に教えてもらっています。


 これは勝負です。例え卑怯だとしても、私たちは必ず試合に勝つつもりです。


「リリス、私と一緒に前に出てください。ルナさんは、黒球で隙をみて魔力を放ってもらえますか?」

「はい! 任せてください!」

「承知しました。――頑張ります」


 あえて伝えませんでしたが、私たちも魔力を通じて黒球の視覚を共有すること事が可能です。

 視えない所を見る。その訓練を、ただひたすらに積んできました。


 氷剣グラキエースを漲らせると、ココ先生の顔色が少し変わります。


「相変わらず規格外の魔力の剣だな。皮膚に触れると圧倒まに凍傷、壊死か」

「降参するなら今のうちですよ。私たちは、加減を知らないのです」

「ははは、それは楽しみだ」


 ココ先生はいつものように笑顔でした。ですがそれも、今のうちです。

 静かなる足音サイレントステップを使って、リリスと共に近づくと、波状攻撃を仕掛けます。

 防御の術式を破壊し、その次の防御をリリスが破壊する。


 攻撃と攻撃を合わせることで、防御に割く力を増やす。


 スタミナ勝負になれば私たちの勝ちは揺るぎません。


 そして私の攻撃は、見事防御術式を破壊しました。

 リリスの攻撃もヒットし、ただひたすらに同じように繰り返す。


 ですが途中で気づきます。いくら魔力量が凄まじいとはいえ、ココ先生から溢れ出る力が変わっていないことに。


 ――もしかして。


「ようやく気付いたか。残念だけど、相性最悪だよ」


 私は気づきました。地面の、魔法陣に。


 ――これはヴァイスの――。


「癒しと加護の破壊の衝動、だったか? まあ、私なりのオリジナルになっているが」

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