321 マリス
次の瞬間、俺は全方位に防御を発動した。
更に足で癒しの加護と破壊の衝動。
最強四人の魔力。
凄まじいほどの魔力が流れ込んでくる。
この魔法は俺が編み出した中でもトップクラスに良いが、今まではデメリットも感じていた。
あまりにも敵が強大すぎると、身体が持たないからだ。
今までは魔法を放つことで回避していた。
だが、それはある意味で投げやりの攻撃になるし、攻撃も読まれやすくなる。
しかしそのすべてを、
「――はっ、誰だお前は」
「……召喚魔法だと?」
「驚きました……」
俺は、攻撃を受け止めた。
ダリウスと大剣とクロエの鞭をだ。
だがミルク先生の攻撃を受けたのは、”俺”じゃない。
「――我が主に刃を向ける輩は、誰であろうと許しません」
俺と同じような黒剣を構え、全員の魔力を奪い取った妖艶な女性が横に立っていた。
純白な髪、豊満な胸囲、なぜか肌がよく見える漆黒の服。
目は赤く美しく、背中には、小さな黒い翼。
臀部には、黒い尻尾がついている。
正体に気づいたのは、ミルク先生だった。
今まで見たことがない表情で、目を見開いている。
はっ、そんな顔もできるのか。
「――ヴァイス、お前まさか」
ルナとの特訓は、魔法のイメージをより濃くしていくものだった。
上位魔法を詠唱するには、魔力だけでは足りない。
習得までにかなりの時間は費やしたが、何とか試験に間に合った。
ずっと考えていたことだ。
完全体に戻すことができれば、きっと更に強くなるだろうと。
『――御身のままに、我が主よ』
初めてあったのは修学旅行の時だ。
その時は随分と物騒な見た目だったが、あの時の奴は恐ろしいほど強かった。
”使役”してからは、俺の力を譲渡していることもあって弱体化してしまっていた。
デビ――いや、この名前は今は相応しくない。こいつの名前は――。
「
するとマリスは、赤い舌をペロリを出して唇を舐めた。
「我が主のお言葉、
次の瞬間、マリスは闇波動で教員を吹き飛ばした。
癒しの加護と破壊の衝動で得た魔力を全開放している。
エレノアの腐敗を模倣した想像魔法だ。魔法障壁も全て吹き飛び、ミルク先生までもが丸裸の状態となる。
ココは無駄な魔力を消費されないように咄嗟に解除したらしい。
流石の手練れ。だがここからが本番だ。
俺は必ず破滅を回避する。
その言葉は伊達じゃない。
第一ラウンドは先手を取られた。
だが第二ラウンドは俺の番だ。
最強どもをまとめて倒してやる。
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