320 クライマックス
次の瞬間、地面が光輝いた。
これは――転移魔法か。
「ヴァイス――」
「ヴァイス様――」
「ヴァイスくん――」
すると、俺の
防御だけではない。これは、魔法に対しても有効にしてある。
シンティアたちの姿が消えていく。
転移魔法は非常に魔力を消費する。クロエの魔力量は少ない。
なのに、俺だけを残すためにここまでした。
「ごめんねえ。これって、卑怯だよねえ。でも、勝つってこういうことでしょ?」
ココがいつもの様子で答えた。
もし俺が防御を解除していれば別の場所に飛ばされ、ミルク先生たちは不利になっていたはず。
それを見極める為にあえて先手を取らなかった。
俺たちが攻撃を仕掛けている間に、不可侵領域がちゃんと発動しているのかどうか確認していたということか。
「ヴァイス、お前にはまだ教えていないことがあったな。それは、勝つ為には万全を期すことだ」
「あなたはわかっているはずです。私が大きく魔力を消費したことを。よって、時間はかけません」
「……悪いなヴァイス、これが”戦争”だ」
「皆さん―、ヴァイスの攻撃は私が全部防ぐので、好き勝手に動いてくださいー」
次の瞬間、最強の四人が魔力を漲らせた。
ココを除く三人が三方向に分かれる。
生半可な攻撃を仕掛けても、ココにすべて返されるだろう。かといってココを狙う隙なんてもらえるわけがない。
魔眼の未来予知を知っているからこその多重攻撃。
回避できない攻撃を、連続で仕掛けてくるはず。
――絶体絶命。
この言葉を思い出したのは、魔族たちに囲まれたときだ。
あの時は不可能を可能にしたが、完全に俺の力じゃない。
おそらくだが”ヴァイス”が何かしたんだろう。
……ったく、黙りやがって。
だが見てろ。
お前の力は必要ない。
俺は勝つためにここにいる。未来に抗う為に。
あァ、さっそくクライマックスだ。
それに俺とセシルだって、この状況を予想しなかったわけじゃない。
『ファンセントくん、もしかしたらだけど、魔力消費度外視であなたを一人に孤立させる可能性もあると思う』
『……俺も考えたが、今のところそれを防ぐすべはないな。だが大丈夫だ。俺も成長してるからな』
『ふふふ、頼りにしてるわ』
「――”お前の”出番だ。出ろ!」
―――――――――――――――
あとがき。
初手からクライマックス。
絶体絶命の状況に、ヴァイスは一体どう返すのか!?
『怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった』
発売日:2024年3月29日(火)
(紙本&電子共に予定)
【Amazonリンク&イラスト付き】
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