319 集合

 シンティアの氷槍アイスランス、リリスの|魔法ナイフ、ルナの黒球からの魔力砲。


 三方向から同時に攻撃を仕掛けていた。

 俺よりも少し遅らせていたのは、隙を伺っていたからだ。


 いくらミルク先生でも防御を詠唱せざるを得ない。となると、魔力を消費する。

 強者との戦いで一撃必殺を狙うのは不可能に近い。


 地道に攻撃を仕掛けて魔力を消費させる。

 これは、原作ノブレスでのセオリーだ。


「――ココ」

「はいよー」


 しかしそのとき、砂埃から突如として現れたのは、ココだった。

 ポケットにつっこんでいた手を取り出すと、片手だけでミルク先生を360度、防御展開する。


 魔法を弾き返すと同時に、背中から悪寒が走る。


「フンヌォラアアアアアア!」


 デュークを思い出させる豪快な叫び声、地の刃に気づき、飛行魔法で高く飛んだ。

 だがその上、更に声がした。


「――こんにちは、ヴァイスくん」


 2本の鞭が直撃――不可侵領域バリアが発動した。


 そのまま地面に降り立つと、おそろしい連中が姿を現した。


 大剣を構えたダリウス、鞭を構えたクロエ、片手剣のミルク先生、その全員に防御を展開したココ。


 荒野に祠は四つある。

 普通に考えると、そのすべてに一人ずつ配置する。

 だがあえて三つを捨てただと? いや――違う。


 その前に、倒すつもりか。


『ファンセントくん、予定通り祠を見つけましたが、とんでもない結界が張られています』


 そのタイミングで、セシルからも連絡が飛んでくる。


 俺たちの中で結界に長けているのはシャリーだ。

 だがアレンたちからの連絡はまだない。


 まだ見つけられていないんだろう。


 つまり――。


「わかるだろう。ヴァイス、私たちが一番危険視しているお前だ。決して侮っていない。勝つ為には、何でもする」

「ハッ、そこまで俺を買っていてくれたんですか」

「誇っていい。これは、私たちの”総意”だ」




 


 

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