311 ナンバーワン

 些細なことだが重要なことだ。

 何も戦闘のことだけじゃない。こいつに足りないのは自信だ。


 外見なんてどうでもいいが、堂々としていることは誇りにもつながる。


 それにま、結構可愛いしなァ。


「えへへ……」


 パチンっと髪を止めると、いつもは隠れて見えない素顔があらわになった。

 ハッ、そっちのが随分といいな。


「ルナ」

「は、はい。どうしたのですか?」

「ありがとな」

「……え?」

「約束を反故にした俺と毎晩遅くまで訓練に付き合ってくれたことを感謝してる。だが、それも全て結果を出す為だ。ここからは本気でいくぞ。気持ちを切り替えていけ」


 ルナはカルタと同じで気弱な性格だった。

 それでも成績を伸ばして、原作と違って前に出てきている。


 逃げずに立ち向かったのだ。


 もうはぐれメタルなどとは茶化せないな。


「うん……。ヴァイス君、私はあなたの目であり手であり足です。好きに使ってください」

「はっ、イイ心がけだ」


 それに随分と俺好みに育った。

 性格も悪くないな。


「ヴァイス、試合前に冷たい氷はいかがですか?」

「遠慮しておきます」


 うん、やっぱりシンティア、お前がナンバーワンだ。

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