288 通用しない

 ノブレス魔法学園での防衛魔術を担当しているココは、その魔法通り、防御に特化した魔法を使う。

 原作では最終的にアレンや国を守る為に活躍するものの、他人に固執する性格ではない為、過度に寄り添ったりはしない。


 中庭では流石に人目が付くのでマズいらしく、前に防衛魔術を教えてもらった体育館に移動していた。

 白衣が揺れると、魔力がほのかに感じられる。


 ……クソ、純白が記憶から忘れられねえ。


「少年、私に勝てばもう一度下着を見せてやるぞ」


 体育館で振り返ったココが、嬉しそうに答える。

 ここで俺が本気を出せば、まるで下着が見たいと思われるじゃないか。


 いや、関係ない。

 少しは本気を出さなきゃ意味がないだろう。


 魔力を練ると、隣でルナの悲し気な声が聞こえた。


「うう……ヴァイ君は大人の女性がいいんですね……私も……純白の下着を買います……ダースで」

「なに言ってんだお前は……」


 はぐれ化しなかったのはいいが、こいつやっぱ変だな。

 そのとき、ココが、防御シールドを強めに展開した。


 それに気づいたルナが、表情を切り替える。


 ハッ、伊達に十一位じゃねぇってか。


「ずっとその顔をしてろルナ」

「え、それってもしかして……告白ですか?」

「……ちげえよ」


「イチャイチャしてると、シンティアに言いつけるぞー」


 ココが身も体も凍り付くよなことを言い放ったので、視線を戻す。

 まずは軽く連携攻撃からだ。


 まずは”知る”ことが大切。


 気持ちを切り替え、魔力砲を放った。

 だが当然のように弾かれる。


不可侵領域バリアが使えるとは知りませんでしたよ」

「術式の最適化をしただけだ。君のと違って面倒だし、簡単じゃないよ」


 サラリといっているが、とんでもない魔法だ。確かに簡単じゃないだろう

 俺はルナに目配せをした。


 彼女は黒い塊を操作し、ドローンのように二つ飛ばした。

 

 それが何を意味するのか、ココはわかっていないが、やけに嬉しそうだ。

 ポケットに手を突っ込んだまま、子供がおもちゃを見ているような声をあげる。


「へえ、楽しそうな魔法だね」


 続いて俺は真正面から駆け、剣を振り下ろす。

 

 魔眼を発動するも、その意味のなさに驚く。


 バリィッと響き渡る防御シールドの密度。

 

 彼女は、”一歩も動く気がない”


「ふうん、その眼、やっぱり凄いね。魔力の淀みを通じて対象の動きを予測してるのか」


 それを一発で見極める考察力。

 さすがココだ。

 

 だが――おもしろい。


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