287 純白の天使
「……いびきかいてますね」
「……試しに攻撃してみるか?」
「それは流石に――」
ほんのちょっと魔力を感じさせるくらいはいいだろう。
蚊が止まった程度の魔力を放つと、ふよふよと静かにココの額に当たる。
だが、目の前で弾けた。
俺の
おそらく魔力に応じて変化する性質を持っているのだろう。
俺も以前教えてもらったが、それをさらに改良しているらしい。
「ううん……もっと食べたい……作りなさい……」
すげえ傲慢な夢を見ているみたいだ。
とんでもない先生だな。
「ルナ、二人でやってみよう」
「え、そ、それはマズくありませんか?」
「大丈夫だ。ココはそんなことで怒らない」
知らんけど、まあ大丈夫だろう。
おそるおそる、小さな魔力を飛ばすと、両方をはじく。
だが俺は、少しだけ強くしていた。
片側だけ強く防御魔力を消費した。
やはり、適切に弾かれている。
これが術式の最適化か。
「足りない……もっともっと作れ……ん? 何してるの君たち」
突然寝ぼけ眼で起きると、ふぁああと瞼をこする。
ルナはぎょっとしたが、堂々と答えた。
「敵情視察ですよ。今度の試験、勝つ気なので」
すると、ふふふと微笑んだ。
「相変わらず君は勤勉だねえ。それで、なんかわかったかい少年」
「今のところは、凄いってことぐらいしか」
俺の答えがやけに気に入ったのか、高笑いするココ。
底抜けて明るいところは、シャリーに似ているな。
この辺りは、ミルク先生と随分と違う。
「それで君たちのとっておきは、ルナちゃんってこと?」
「そうかもしれませんね」
「え、わ、私は何も!?」
「類まれな魔法だ。確かに、私たちにはないものかもね」
ココが、禁煙パイプのようなものを咥える。
タバコを吸いたいわけではなく、落ち着く、とのことだ。
「それで、ミルク先生やダリウス先生、クロエ先生については? 何かわかった?」
「まだこれからですね。知ってることを集めて、どう
「ははっ、ならいいことを教えてあげよう。私たちは傲慢だ。どうせ、君たちを舐めてかかるよ」
「なるほど。ほかにもっと弱点とか分かりやすいのはないですか?」
「ヴァイ君っ!? 流石にそれは言い過ぎじゃ――」
「そうだねえ。だったら、私の
ココが微笑みながら立ち上がる。
まさかの出来事だ。
アレンなら正々堂々と戦いたいというだろうが、俺はそんなのどうでもいい。
勝てばいい。その為には、すべてを利用する。
「じゃあ、少し戦おっか」
しかし俺は、思わず目を背けた。
ココが「どうしたの?」と尋ねて来るも、ルナが声を荒げた。
「せ、先生!? スカートがあがって!? 下着が見えてますよ!?」
「ん? ああ、そういうことか。――なんだ、意外にウブなんだな」
……まったく。
ちなみに、めちゃくちゃ純白だった。
「……ん?」
そのとき、ほんの少しだけ冷気を感じたが、多分気のせいだろう。
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