282 はぐれヤンデレをゲットだぜ!
ひとまずルナの言葉は置いておくとして、友達というのは俺からすればありがたい話だ。
別に彼女が嫌いなわけじゃない。ただ、掛け違いがあっただけ。
シンティアとリリスも仲良くしたいと言っていた。
お互いに理解を深めれば、今後の関係も良好になるだろう。
特に、ルナの能力は俺が喉から出るほど欲しいものだ。
魔王を倒すのも、次の試験にも必ず役に立つ。
「俺からすればありがたい話だ。でも、いいのか? その……嫌じゃないのか」
「……もちろん、悲しいです。でも、私はまだあきらめていません。シンティアさんにも、そう伝えましたから」
「え、なんて?」
「いつか必ず、ヴァイ君に好きになってもらうからって」
あのシンティアに……? 意外に大胆だな……。
「シンティアさんは笑っていました。ああ、強いなって。だから、私も強くなりたい」
「そうか。それはいいことだ」
「だからヴァイ君、これから仲良くしてほしいです」
ルナは、小さな右手を差し出してくれた。
俺は、それを握り返す。
「願ったりだ」
はぐれメタルをこのタイミングで捕まえられるとは思ってもみなかった。
これは大きな改変だ。随分と予想とは違うかったが。
「ルナ、次の試験の内容は知っているな?」
「もちろんです……大変そうだよね」
「今までで一番困難なことは間違いない。だが、お前がいれば勝利は上がる」
「私……が?」
「ああ、だから力を貸してくれ」
「……もちろん。私で良ければお願いします」
その姿は、かつてのカルタとよく似ていた。
ルナも虐められていたことで、自身の殻に閉じこもっていた。
だが、これで乗り越えてくれるはずだ。
そして俺も。
翌日の放課後、市街地でデビを召喚し、さっそく彼女に魔法を教えてもらおうとしていた。
「デビビ!」
「ちゃんと見るのは初めてだけど、こんなに可愛い子なんですね」
「そうか?」
「デビー!」
「で、どう思う?」
デビは、ルナに頭をこすりつけていた。
それから、彼女はデビの身体を確かめるように触れる。
そして――。
「ヴァイ君の言う通り。出来ると思うよ」
「そうか。――デビ、強くなりたいか?」
「デビビ!」
試験はまだ先だが、大勢が対策を始めている。
これからもっと忙しくなるだろう。
さて、どう対処するか。
次の試験は負けるのが当たり前。
本来はただの遊びみたいなもんだ。
戦うのは、俺たちのよく知るノブレス教師陣。
下級生、中級生全員で相手をする。
ダリウス、クロエ、ココ。
そして、孤高の最強――ミルク・アビタスとも戦うことになる。
ハッ、想像するだけで、今から楽しみだ。
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