281 はぐれヤンデレ?

 昨晩、涙を流したのだろうか。瞼が晴れていることにはずっと気づいていた。

 ルナは心が弱いと勘違いしていた。だが誰よりも純粋なのだ。


 ずっと、それこそずっと俺を想うほどに。

 だが俺にはやるべきことがある。


 それを今さら変えることはしない。


 これでルナとは終わりだろう。

 仕方ない。こればかりは。


「……ねえヴァイ君」

「どうした?」

「……お友達から、仲良くしてもらえませんか」

「俺と?」

「……うん。わたし、すごく楽しかったんです。ノブレスにきてずっとひとりだった。それでも頑張ってこれたのは、ヴァイ君との約束のおかげです。でも、シンティアさんとも話してわかった。彼女は、もっともっとあなたのことを知っている。私も知りたい。ヴァイ君が強くなろうとしてるのはわかってる。私も、よく見てたから」

「見てた?」

「うん。この黒い塊で」

「……どういうこと?」

「みてて」


 すると、黒い塊が目になった。

 え、なにこれすごくない? サラリとしてるけど、改変だよ?


「夜中、ずっと剣振ってるのみてた」

「いつからだ?」

「入学初日から」


 とんでもないことをサラリと言っているが、この際気にしないでおこう。


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