275 タンパクシツ
午後の授業、軽い対人戦があった。
地下の闘技場、中級生の面々が集まっている。
ランキングを考慮して対決することになり、そこで俺は、驚くべきものをみていた。
二位のアレンと十一位のルナ。
初めこそ模倣魔法で貴族たちに嫌われていたアレンだが、今ではすっかり認められている。といっても奴隷撤廃を気にくわないやつもいるので、そういう相手には頗る嫌われているが。
だが強さは大勢が認めている。
しかしそのアレンを相手に、ルナは上手く立ち回っていた。
「――ハァッ」
「……
アレンが仕掛けた攻撃を、暗闇が沈み込んで防ぐ。
普通なら盾を想像するが、彼女は柔らかいゼリーみたいなものを想像しているのだろう。
ぐにゃりと攻撃を防ぎ、去り際に魔力砲を放って下がる。
剣は持っているもののあくまでも魔法主体で戦うのがルナのスタイル。
派手さはなく地味だが、最後までアレンは致命傷を与えることができなかった。
「アレンが……ルナなんていたか?」
「誰だ、あの子?」
「初めてみたな」
生来の影の薄さは健在。
だがこれから認知していくだろう。
するとまたルナが俺を見ていた。
「…………」
何を考えているのかわからない。
だがまあよくやっている。
そんな感じを想像していると、なぜか彼女がほのかに微笑んだ。
このまま……当たって砕けろでいくか?
「ヴァイス、今日はてめぇの命日だ! 俺の拳が、お前の腹をポンポンだぜ!」
「……相変わらず脳まで筋肉に侵されてるみたいだなササミ」
ちなみに俺の相手は筋肉だった。
もちろん秒殺した。
「クソ……俺のタンパクシツが……」
そしてどこかで得たのか知識も増やしていた。
これも改変か。
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