271 約束
カルタは以前、五位だった。
だが何と、デュークとシンティアを抜いたのだ。
ニールとの対決で多くの上級生をまとめて倒したことも関係しているだろう。
それでも、退学するはずだったとは思えないほどの成績に思わず笑ってしまう。
オリン、セシルは総合成績こそ振るわないものの、驚くべきほどの資質を見せている。
もはや学年の戦いだけで測れない。
だがそれは、リリスやトゥーラもだ。
集団戦、魔法主体ではどうしても厳しいものの、個々の能力ではずば抜けている。
今後、このランキングが大きく変わってもおかしくないだろう。
だがそれよりも、俺は十一位の名前に驚いていた。
――ルナ・キャンディ。
少なくとも総合でこの順位に来る人物ではない。
そしてその彼女が、隣でランキングを眺めていた。
「……もう少し」
黒髪、綺麗な顔立ちだ。
背は低く、魔力もそれほどではないが、ある特殊能力を持つ。
それは、想像した魔法生物を動かし、戦わせるというもの。
俺は以前、カルタに声をかけた。
それは、彼女の飛行魔法がこの世界において最も価値があるとわかっていたからだ。
そして彼女は、今の俺にとって一番ほしい
今まで声をかけなかったのは、彼女の気難しい性格を知っていたからだ。
うちに引きこもるタイプで、下手に怖がらせれば自ら退学するほどの気弱さを持つ。
原作では仲間にすると強力だが、声をかけるタイミングを間違えると消えてしまう。
分かりやすく例えると、はぐれメタルみたいな女子生徒だ。
基本的には相手から声をかけて来るのを待つしかない。
だが不思議なのは、順位を上げていた事。
こんな目立つ事をするわけがない。
それが、不思議だった。
成功するか失敗するのか、思えばいつも賭けにかっていた。
なら、それもいいだろう。
「よォ、頑張ってるみたいだな」
幸いシンティアとリリスはいない。
今なら話せるだろう。
するとルナは、俺を見上げた。
身長はカルタと同じくらいだろうか。
顔はよく見えないが、ノブレスはどいつもこいつも美形だ。
すると――。
「……約束」
ただ一言、それだけを言い放つと、走って消えていった。
……ん?
え、成功? 失敗?
……どっちだ?
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