259 突撃
黒髪の短髪、魔界人であるロズは、アントワープ家の前で魔力を漲らせていた。
手には、キラリと光る剣を構えている。
その横から黒い扉が開くと、魔物が飛び出してきた。
それを見ていたシャムが、驚いてため息を漏らす。
「上級魔物100体も差し出すって、魔族は何考えてるんスかね。そこまでするなら出てきたらよくないッスか?」
「色々考えがあるんだろう。俺たちには何も言わないだろうがな」
「例えば何だと思いますか?」
「ここにいる人間どもが、どれだけ強いのか、だな」
その時、ロズとシャムの脳内に、クロの声が入る。
『ロズさん、定位置に付きました。屋敷の中には人間が10人です。かなり強いってピーチが言ってます』
『ロズ様、でしょ』
ピーチの軽快なツッコミが聞こえるも、ロズが静かに尋ねる。
『わかった。古代魔法具の
『場所はかろうじて特定しました。けど、位置的に間違いなく罠ですよ』
『承知の上だ。まずは作戦通りいくぞ。お前ら、死ぬくらいなら退けよ』
『『『了解』』』
◇
「驚いたが、セシルの予想通りだな」
「ええ、あらかじめ分かれていて正解でしたわ」
俺とシンティアは、正面入口で待ち構えていた。
古代魔法具は屋敷の中心、その四方を全員で囲んでいる。
リリスはデュークと南側。
アレンはシャリーと西側。
オリンはカルタと東側。
セシルは古代魔法具の中心部。
トゥーラは全員の補佐だ。
それぞれが原作よりも遥かにレベルアップしている。
例え乱戦になってもすぐに駆け付けられるように予め廊下の動線も良くしていた。
それでも今回は助けは来ない。
俺たちだけでやるしかないのだ。
『すべて問題ない。私たちは絶対に勝つわ』
その時、セシルの自信に溢れた声が飛んできた。
彼女がここまで言い切ることはめずらしい。
俺は思い出していた。彼女の、助けに来ないでいいよという言葉。
セシルは、ニールとプリシラの戦いから何かが変わった。
あの日、彼女は何もできずに落とされたことをひどく後悔していたのだ。
今の言葉も、彼女なりの意思表示なのだろう。
おそらくバトル・ユニバースの駒や噴水、壁、至るところをだ。
魔物の動く範囲を広めたいのか、それとも精神的に揺さぶりたいのかはわからない。
セシルには申し訳ないが、俺たちは色々と乗り越えて来た。
この程度では誰も揺らがないだろう。
「うおおおおおおおお、あいつらひでえええええなああああああ!!!」
南側から筋肉みたいな声が聞こえたが、無視だ。
そして魔物の出現が一通り落ち着いた後、正面玄関の扉が開いて、無数の魔物が飛び出してきた。
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