244 秘密の女子湯

「ふう、朝風呂は気持ちいいな」

「トゥーラさんって、湯が似合うよね」

「そうか? しかしセシル、この前はすまなかったな。私がもっと早く動いていれば助かったかもしれぬ」

「私が悪いだけよ。でも、いい勉強になった。そういえば聞いた? ニール先輩とプリシラ先輩、婚約したんだって」


 セシルさんの一言で、その場にいるみんなが、えええっ!?と声を上げた。

 もちろん、私も。


「そ、そうなの!? 婚約……凄い」

「シャリーさんは? アレンくんといつするの?」


 とんでもないセシルさんの質問に、シャリーさんが慌てふためく。

 タオルが取れて、胸があらわになる。


 凄く……綺麗。


「わ、私とアレンはそんな関係じゃ!?」

「ん? そうなのか? 私も随分と仲良しと思っていたがな!」

「え、ええ……ま、まあ……仲良くはあるけれど……そ、その……」


 ぶくぶくと湯に沈んでいくシャリーさん。

 自分の事になると赤面するところがカワイイ。


 しかし微笑んでいた私に、とんでもない矢が、シャリーさんから飛んでくる。


「……カルタさんは? ヴァイスのこと、気に入ってるんじゃないの?」

「うん? え? え、えええええ!? ヴァ、ヴァイスくん!? 私が!?」

「おお、そうだな! ヴァイス殿はいいよなあ! 私も妾にしてもらえないだろうか!」


 とんでもないことをハッキリと言うトゥーラさん。

 周知の事実だけれど、私は……。


 ええと、ええと――。


「そ、それを言うならセシルさんも、その、仲良しだよねえ!?」


 私の問いかけに、セシルさんは、ただただ冷静な顔をしていた。

 凄い。まったく動揺もない。


 ……あれ? 返事がない。 あれ?


「セシルさん?」

「……な、なんの……は……なし!?」

「ええと、その、気に入っている人って――」

「ファ、ファンセントくんと私は、ただそのバトル・ユニバースが好きで!? だから、二人でよくいるのは!? 遊んでるだけで!?」


 そう思っていた矢先、身振り手振りで顔を真っ赤にする。

 冷静沈着でいつも落ち着いているセシルさんが、慌てていた。


 それが面白くて、ついついみんなが笑ってしまう。


「ヴァイス殿はモテモテだな!」

 

 と、その時、ふと後ろから冷気を感じた。


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