243 カルタの早起き、お風呂の巻

 私の名前は、カルタ・ウィオーレ。

 ノブレス魔法学園の中級生だ。

 ポイント制度だと分かった時はびっくりしたけれど、今はヴァイスくんのおかげもあって毎日が充実している。


「ふわああああ、眠たい……」


 顔を洗って歯を磨く。

 以前は集団部屋だったけれど、今は個室。

 凄く広いけれど、その分寂しい。いつか誰かと同室していたいなって思ってる。


 ノブレスの校則は緩い。でも、校内は学生服か訓練服だと決まっている。

 まずはお着替えだ。


 鏡の前に立つと……一応、その……身体のチェックをする。


「……またおっきくなってる」


 なぜか、なぜか私の胸は未だに成長中。

 お風呂に入るたび、シャリーさんから大きいねえっ! って触れられるので、そうかなあ? と思ったがのはじまり。

 確かに……おっきくなってる。


 これがいいのか悪いのかわからないけれど、あまり大きくなると下着を取り寄せないといけないので大変だ。

 今度みんなでお買い物行こうってお話をしているので、その時に新調しようかな。


 ふと時計を見るといつもより早かった。


「まだ時間あるな」


 ササッと着替えて外に出ると、セシルさんと出会う。

 手には、小さな荷物を持っている。


「おはようカルタさん」

「おはようー。あ、もしかして、セシルさんも?」

「そうね。早起きだったから」

「同じだねー」


 そんな話をしていると、前から現れたのはトゥーラさん。

 頭の上にタオルが乗っている。


「おお! カルタ、セシル、おはよう! 朝だな!」

「そのまんまだね。おはようトゥーラさん」

「ふふふ、朝だね」


 目的が同じだとわかったので、一緒に廊下を歩く。

 悲しい事に、ノブレスでは月をまたぐことに生徒が減っていく。


 仕方ないけれど、その分、朝は空いている。


「おお、シャリーではないか!」

「あらみんなお揃いね」


 厳重な魔法セキュリティの扉をいくつもくぐると、そこに広がっていたのは清潔な脱衣所だ。

 シャリーさんが、今まさにお洋服を脱ごうとしていた。


 ここは、ノブレスで一番落ち着く場所かもしれない。


 女子の湯、と書かれた文字。

 鏡が等間隔に並んでいて、疲れが取れるまで休むことのできる椅子、ベッドまで。


「ではお先に!」


 と、思っていたらトゥーラさんが中に入っていく。

 は、はやい。


 相変わらずのスタイルの良さが羨ましい。

 無駄なお肉とかないもんな……私と違って……。


「カルタさん、脱がないの?」

「あ、脱ぐ脱ぐ!」


 セシルさんは、細身でスラリとしていて綺麗だ。

 身長も高くて、黒ぶち眼鏡をいつもかけている。


 これはみんな知らない事だろうけど、外すと凄くカワイイ。

 下着は、ピンク色で意外とカワイイ。


 って、何言ってんだろ!?


「ほほう、カルタさんやっぱりおっきくなってるねえ」

「ひゃあっ、シャ、シャリーさん!? そこ触っちゃダメ!?」

「ほうほう」

「二人とも、そういうのは湯に浸かってやるもんじゃないの?」


 大人びた微笑みで去っていくセシルさん。

 うう……。


「シャ、シャリーさん!?」

「あはは、ごめんごめん。行こ行こ!」


 人懐っこい笑顔。

 こういう所は、凄くアレンくんに似てる気がする。


 ちなみにブラを脱いだら、また触られたので、急いで逃げた。



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