228 訪問
「ハッ、んだこりゃ……」
ベルクやメリルの家が最大級だと思っていたが、上には上がいる。
原作でアルバート家の屋敷を見る機会はなかった。
豪邸、ただそれだけ書かれていたが、そんなもので括れるもんじゃない。
デカすぎる屋敷が四つほど並んでいる。
その隣には使用人の家だろうか。
中庭の中心には大きな噴水、周りには薔薇が敷き詰められている。
現在も増築しているのか屋敷を作っている。
この世界ではめずらしい光景だ。
それと――。
「どうしようファンセントくん。やっぱり置いてきてきたほうがよかったかも」
「……だな」
バトル・ユニバースの王都特別仕様が出ていたこともあり、気づけばセシルが三つも購入していた。
配送にしろと言ったが、手元に持っておきたいらしい。
一つはプレイ用、二つ目はスペア、三つめはスペアのスペアらしい。
どういうことだ?
だがやはり馬車から降りるとその大きさに苦しんでいる。
どういうことだ? なぜその頭がいいのに気づかないんだ。
仕方ない、少しくらい持ってやるか。
だがそのとき、ひょいとセシルの箱を持ち上げたメイドがいた。
「お持ちします。ニール様はまだ外出しておりますので、中へどうぞ」
「え、プ、プリシラさん!? す、すみません!?」
「お気になさらないでください。今は学園の中ではありませんので略称もなくてけっこうです。」
そういって屋敷の扉を開ける。
メイド姿のプリシラはゲームで見慣れていたが、実際に見たのは初めてだ。
思わず立ち止まっていると、プリシラが声をかけて来た。
「どうかしましたか?」
「いや、何もないですよ」
ここからどうなるのかは想像もつかない。
だがこれでニールが敵か味方か、俺がどうすべきかハッキリするだろう。
まだ何かされたわけじゃないが、ボーっとしていたら足を食われているのかもしれない。
俺はヴァイス、悪役貴族だ。
先に攻撃を仕掛けるは当然だよなァ?
さて、試合開始だ。
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