217 新たな力
「それとヴァイス」
「なんだ?」
「あなたの動きは人間を超えています。どうやってその力を身につけたのですか」
「ハッ、なんでだろうな」
「……意思、ですか」
「かもな」
その後、地竜が近づいてくる。
そして、耳元で――。
「力を貸してほしい時は私の名を呼びなさい。真に必要とされているときだけ、姿を現しますよ」
「……ハッ、わかったぜ」
最高の
なるほど、本来は強くてニューゲームの特典みたいなもんか。
……どうせなら、俺も少しちょっかいかけとくか。
「お前らの信仰する神って、まさかノブレスか?」
「……どうしてその名前を!?」
「何でもねえよ」
恥ずかし気にたゆんを揺らす地竜。
このくらいのけん制はしておくか。
全てが終わって戻ろうとしたとき、火竜が、オリンに近づいた。
「オリン、って言ったな」
「え、あ、ボク? そうだよ?」
「お前のこと気に入った。使役だったか? 初めてだ、あんなに心の中を覗かれたのは。――
「え!? あ、ありがとう。でも、さっき治してもらったから大丈夫だよ!」
オリンは火竜から力を奪っていた。
それを貸しておくということは、ハッ、あいつ七段階ぐらい強くなるんじゃねえか?
また面倒なことになりそうだ。
「では我らは去る。ヴァイス、オリン、トゥーラ、リリス、ビアド、迷惑をかけてすまなかった」
そういって地竜は、また神々しい光を放ち元の姿に戻った。
天に伸びて消えていく四竜、今までで一番の難易度だったかもしれない。
振り返ったビアドがようやくホッと一息を吐く。
「ふう……ありがとう。君たちのおかげで何とか村は守られた。この中の一人として欠けていたら敵わなかっただろう。今だ信じられないが、本当に助かったよ」
ノブレスの主要キャラクターでもないにもかかわらず、ビアドはよくやっていた。
むしろ一番の功労者だと言ってもいいだろう。
「ヴァイス様はやっぱり凄いです。何事にも動じず、格好良くて、そして誰よりも強かったです」
「ハッ、ありがとなリリス。だが――」
「だが?」
「……竜が女に変身したって話は、ちゃんとうまくシンティアに伝えてくれよ。言い方を間違えると大変そうだ」
「ふふふ、わかりました! 任せてください!」
これで大掛かりなサブエピソードの終わり。
ちょうど
特にあの
ひとまず自宅に戻って、ゆっくり湯につかるとするか。
◇
遥か北、とんでもない魔物の数を相手にアレンは戦っていた。
そのすべてを軒並み倒したあと、項垂れるように息を整える。
その後ろから、白髪――エヴァ・エイブリーが嬉しそうに歩み寄った。
「あら、ようやく
「……はあはあ……ありがとう……ございます……」
「ふふふ、次の
それは、とても不敵な、不敵な笑みだった。
─────────────────
第七章、四竜編――完。
ノブレス旅行から始まり、パートナー試験で魔眼を得たヴァイス。
デュークの最後の一撃が随分と前のように感じます。
文字数は66万文字ほど、終わりもある程度綺麗にまとまったかもしれません。
書籍の情報解禁はもうしばらく、もうしばらくお待ちください。
というか出たらマジで買ってほしいです土下座しますm(__)m)
今後の予定としては、幕間を挟んだあと、第八章は『悪』から始まります。
皆さんはお忘れかもしれませんが、原作、ノブレス・オブリージュのヴァイス・ファンセントはサブキャラクターの悪党です。
つまり、本来であればアレンに立ちふさがる『悪』が存在するのです。
噂によるとその人はとても身長が高く、金髪で、狡猾で、そしてクズらしいです。
また奴隷が好きで、とにかくクズらしいです。
さて、悪を前にしたアレンはどうなるのか。
ヴァイスは何を感じるのか。
新たな能力を得た面々、試験ではどうなるのか。
まだまだ怠惰な凌辱貴族は続きます!
魔王も、魔族も、まだだまだまだまだ!
お楽しみに!
良ければ、レビューを頂けるとモチベになって嬉しいです!
コメントでもいいです。おもしろい!だけでも嬉しいですw
いつもありがとうございます(^^)/
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます