187 オークション解決編①

「ヴァイスくん、フルーツ食べる?」

「ああ」


 フリーデ家の中庭、カルタとフルーツ茶会をしている前では、ベルクとメリルが仕合をしていた。


「くらえ、回転切り!」

「それ、隙ありすぎ」


 相変わらずの大振り、だが少しだけ改良したらしく、先端に炎属性をつけていた。

 食らえば大ダメージだろう。


 まあ、食らえばだが。


 対してメリルは冷静に回避、横から魔力砲をぶつけた。


 平和な光景に、思わず少しだけ頬が緩む。


「はあ……なんか、地上っていいね」

「ハッ、お前の口からそんな言葉を聞けるとは、いい未公開だな」

「未公開? よくわからないけれど、まさか自分が鉄格子の中に入るだなんて考えたこともなかったよ」

「だろうな」


 あの後、俺たち四人は仲良く捕縛された。

 まあ、その時にはすでに大勢が縄で縛られていたが。


「にしても凄いね。ヴァイスくんのお父さん」

「ああ……俺も驚いた」


 そのまま鉄格子に入れられた俺たちだが、身元が発覚してからの騒ぎはすさまじかったらしい。

 

 ウィオーレ家は、商売でも有名だ。更にノブレスでのカルタの飛行は既に王都でも知れ渡っている。

 王家直属のベルクに、宮廷魔法使い家系の才女メリル。


 そこに俺、ヴァイス・ファンセントだ。


 そして縄で縛られているのは権力者たち。


 想像しただけでもどう扱っていいかわからない案件だろう。

 だが普通なら全ての矛先は俺に来るはずだ。

 もちろんそれもわかっていたし、それでもいいと思っていた。


 だからこそ主張は変えなかった。俺がこの場を知り、全てを壊したかったと胸を張っていった。


 相手からすれば喉から手が出るほど欲しい言葉だ。全てを俺に擦り付ければいいだけなのだから。

 原作を考えると、何も言わずともそうなってもおかしくはない。


「いい立ち回りだったみたいだな。ヴァイス」


 だが驚いたことに、俺を迎えに来たのは父、アゲートだった。


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