186 許せねえ②

「は、はやく殺れ!」


 続々と現れる護衛たち。

 貴族たちは仮面をかぶったままその場を後にしようとする。


 ここで逃がせばいくらでも言い逃れができるはずだ。

 俺たちがすべきことは全員を捕まえた上で、法廷で戦うしかない。


 それが、絶対条件だ。


「結界を作動させろ!」


 すると、司会者の男が、魔法具を発動させたのだろう。

 エフェクトがその場で響く。


 原作ではなかった展開だ。

 ……ったく、俺の存在が色々と作用してしまっているらしい。


 これにより、権力者たちの前に強固な結界が何重にも張られてしまった。

 殺さずに護衛を叩き伏せ、更に怪我をさせずに貴族全員を捕まえる。


 難易度が格段に上がった。


「ベルク、お前の行動は嫌いじゃない。だが、それだけの力を見せろ」

「わかりました」


 俺が駆けたと同時に、ベルクがとんでもない速度で駆けた。

 まるで動物のような動きで敵を翻弄し、的確に気絶させていく。


 ったく、土壇場では完璧に近い動きをしやがって。


 だが視界の端、貴族の男たちが逃げようとしていた。


 急ごうとしたとき――見覚えのある魔力砲が扉を吹き飛ばした。

 その後、結界がすぐに解除される。


 ハッ、なんでここにいる?


 ――カルタ、メリル。


「――ここから先は、行かせない」

「ベルク! こっちは私たちが、そっちは任せたわ!」


 それ以上の余計な言葉は交わさず、俺たちはただ全てを制圧した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る