177 才能ある後輩②

「いや~楽しかったっす! マジで最高っす! つうか、ヴァイス先輩はもちろん、カルタ先輩もすごすぎっす!」

「ベルクうるさい。でも、ほんと凄いです。カルタさん、どうやったらあそこまで高く飛べるんですか?」


 稽古休憩、中庭で軽い食事を食べていた。

 メロメロンが用意されている。こいつらの後輩力は認めざるを得ない。


 結局、ベルクとメリルは俺たちにほとんど完封負けした。

 俺はまだしも、カルタがメリルを封殺していたのには驚いた。


 高さの有利だけではく、オリンとのパートナーを経て、防御術式、魔法砲の追尾性能、更には飛行能力に磨きがかかっている。

 たとえ魔法をカルタに放って届いたとしても、防御を崩すことは並大抵じゃないだろう。


 単身なら、俺もどうやって勝てばいいのか未来は見えない。


「ええと、揚力と重力を魔法で均等化するんだけど、それには構築術式を自動化する必要があるんだよね。ヴァイスくんは、わかる?」

「……もちろんだ」


 え、なにそれ?

 初耳だぞ?


「なるほど……。ということは、推力と抗力を合わせた上で高度を保つんですね! 凄い、勉強になる……」

「ほえー」


 ベルクは首をかしげている。

 マズイ、同じレベルかもしれない。


 とはいえカルタは天才で、メリルも天才だ。

 二人の会話を理解できなくても無理はないだろう。


 もちろん感覚では理解できる。


 空を飛んだ状態で重力に逆らう魔法を放ち続けるだけだ。

 ま、それが難しいんだがな。


「カルタ、後で俺に【感覚的】に教えてくれ」

「え? じゃあ、一緒に飛ぶ?」

「一緒?」

「うん、メリルさんも、ベルクさんを乗せてみたら? 勉強になるから」


「えーベルクを?」

「なんだよ。俺も乗せてくれよ!」

「はいはい」


 食事を済ませた後、俺はカルタの前で、ベルクもメリルの前に座って、箒に跨っていた。

 感覚で教えるには、身体で感じたほうがいい。


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