176 才能ある後輩①

 ベルクの屋敷は、俺が見た貴族屋敷で一番デカかった。

 いや、デカいなんてもんじゃない。


 豪邸中の豪邸だ。

 執事、メイド、一体何人いるか数えきれないほどに。

 中庭の庭園は色とりどりの花で敷き詰められ、いい香りがする。


 王都でこの規模の屋敷は、土地代だけでもかなりものだろう。

 更に中には特別修練場があり、そこでは様々な武器が置かれている。


 サラブレット中のサラブレット、それが、ベルク・フリーデ。


「うおおおおおおおおおおお! 回転斬りいいいいいいいいい」

「――おもしろいが、隙がありすぎだ」


 そんな男が、空中で縦回転しながら剣を振りかぶってきた。

 魔眼がなくとも動作が丸見えだ。


 ヒラリとかわすと、そのまま脇腹に蹴りを入れた。


 ベルクが飛んでいく。

 しかし突然、ネットのようなものに包まれた。


 魔法だと思うが、隠蔽が駆使されていてよく見えない。


「ベルク、そんな馬鹿正直に突っ込んで勝てるわけないでしょ」

「おっかしいなあ。必殺技だったんだけどなあ……」


 メリル・ストーン。

 彼女は宮廷魔法使いの家系で、生粋の魔術師だ。


 幼い頃から英才教育を施されており、その才能はベルクをもしのぐ。


 既に一年生ながら首位を独占、ベルクは彼女に勝てずいつも二位らしい。

 その最たる理由は、メリルの異常なまでの努力への執着。


 一年生の訓練室はいつもメリルで埋まっているのは有名な話だ。

 驕らず、常に研鑽している。

 ベルクも手を抜いているわけじゃないが、メリルは特別だ。


「――魔力砲」


 だが二人を休ませるのは許さないと、空から巨大な魔力砲が降り注ぐ。

 メリルが丁寧すぎる防御術式で防いだ後、空高く舞い上がった。


 空のカルタに単身でたどり着けるのは、ノブレスでもメリルか、シンティアだけだろう。規格外は除いでだが。

 彼女もカルタには及ばないものの、類まれな高等技術を扱うことができる。


 空に辿り着くと、得意な異なる属性魔法でカルタに攻撃を仕掛けていた。


「ほえー、すげえな……」


 それを見ているベルク。

 気づけば俺もあいつと同じことを想っていた。


 ……なんか、ムカつくな。


 ――一撃必殺ワンヒットキル

 

 視えない斬撃。


 だが奴は、「ひぃ!?」と回避した。


 まったく、一年生の癖に可愛げがない。

 なんでわかったんだ?


「よそ見をするな」

「うっす! いきますよ!」

「ああ、来い」


 ―――――――――――――――――――――――

 あとがき。

 家系が優秀って、なんか良いですよねえ


【カクヨムコン9新作】


 新作投稿しました。

 今回、ものすごく作品数が多く、すぐに埋もれてしまいます( ;∀;)

 内容として面白いと思うので、是非フォロー&☆をもらえないでしょうか?

 読者様、私に是非お力をお貸しください!


最強で最凶の悪役に転生した俺は、原作主人公の為に暗躍す

https://kakuyomu.jp/works/16817330668130826322

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