21 鳳凰暦2020年5月12日 火曜日放課後 国立ヨモツ大学附属高等学校図書館


 あたし――伊勢五十鈴は、岡山さんに採点された鈴木くんの予想問題の見直しと、教科書の確認に入った。今日の昼休みにはいた鈴木くんが、今はいない。もちろん、だからといって勉強に手は抜かないけどな。ダンジョン関係の教科、苦手だし。


「……ヒロちゃん、鈴木先生、どうしたのか知ってる?」

「用事があるとは聞いていますが、それ以上のことは、ちょっと……」

「そっか。エミちゃんは、知らない?」

「いつの間にか、いなかった」

「そっか。ま、鈴木先生のことだから、心配はいらないと思うけどね」

「あみちゃん、あたしと一緒にテストの心配をしよう……?」

「あたし、モミちゃんにどうして入試で負けたのか、今、すっごく不思議に思うんだよね」

「……ダンジョン関係の教科がすごく難しいだけだから」


 ……宮島さんの言いたいこと、すごくわかる。ダンジョンに関する法律とか、制度とか、すごく難しいんだよな。本当にこれ、基礎? でも、小鬼ダンのマップとかは、大丈夫なんだけど。


「鈴木先生との雑談で、いろいろ聞いてるから、するする~っと頭に入ってくるけどね?」

「わかります。わたしも、鈴木さんに、ずっと一問一答で鍛えられながら、間違ったところは実際の具体例で教えて頂きました」

「いや、それマジ? 鈴木くん、ホント、何者?」

「はい。ダンジョンアタックの間に、いろいろと教わってますよ」

「走りながらじゃん……何やってんの、岡山さん……」


 あたしは思わず岡山さんを見た。


「……鈴木さんが何者かと問われても私も答えに困りますが、ご本人からお聞きした話だと、鈴木さんは小学校1年生の時から、ダンジョンに関することは可能な限り調べ尽くしてきたそうです」

「小1からって……」


 いや、さすがにそれは早過ぎるだろ、鈴木くん⁉








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