15 鳳凰暦2020年5月10日 日曜日夜 鈴木家


 DJバーガーで駄弁って、それから寮へ送り届けて、伊勢さんの学習量の確認を高千穂さんに徹底するように伝えて……。


 学習面でもこのクランにいる限りは安心だと思ってもらえる体制作りはこれでなんとかなってるはず。


 僕は今、『鈴木メソッド』の草案を仕上げてる。もちろん、全ての内容が詰まっているものと、重要な部分を空欄にしたものとに分けてあるし、利益面については、最低額でも大きな利益があることも示した。


 最低のリポップ数で計算しても、年間で約8000万円の利益は学校に与えられる。金銭的なもの以外にも、メリットはある。僕がこのメソッドに4億円の価格を付けても、たった5年でペイできるし、それ以降はウハウハだろう。実際には、最低リポップのはずがないし、それ以上に生徒は魔石を手に入れるのだから、利益が8000万で収まるはずがない。


 あとはこれを学年主任の先生と、校長。ここまでが高校か。大学は当然、学長で、ダンジョン学部攻略研究科の教授と学部長、それに、関係する学部として、教育学部の学部長、そして、もっとも期待してるのは経済学部。金になるって飛びついてくれたらいいけど。


 校長と学年主任は、担任に学年主任宛ての親展にした封筒で渡して、その中に校長用の分を入れとけば、学年主任が校長に渡すはず。


 攻略研究科の教授は名刺の住所に郵送で、学長宛てと学部長宛ての封筒を同封しとく。教育学部と経済学部は御中でそれぞれの学部宛てに送ればたぶん学部長の目には入るはず。


 学年主任宛ての分には、テスト週間中なら、話し合いのための呼び出しには応じることも書き添えておく。どうせダン禁で入れないのだ。


「さて、と。次はこっちか……」


 僕は最速で返信されてきた書留速達の封筒の束を見て、にんまりと笑う。金曜日に僕が速達書留で発送して、土曜日に届いたものを大急ぎでその日のうちに返送してくれた保護者の分が、日曜日の今日に届いた。慌てた保護者の様子が目に浮かぶ。


「テスト週間の暇潰しが増えて助かるし、これでひと稼ぎできるから一石二鳥だな。でも、まあ、校長と話し合う機会ができたら、来年から武闘会の予選も、生徒会並みまでではなくとも、ある程度、収入の補償をしてくれるように一言、言っとくか……」


 それまでの換金額を活動日数で割って、7掛け……70%くらいなら、出場希望者にも支払っていいんじゃないか、とは思うんだよな……。





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