第4話

 起きた。

 まだねむい。


「お。起きたか」


「おはよう。げんき?」


「元気だよ。このうえなく」


 そのわりには、なんか、困ったような顔してる。


「なんかあった」


「いや、まあ、色々」


「あやしい」


「いや、設計ミスが見つかっただけ」


「どこの?」


「ここの」


 このレンタルルームに。設計ミス。


「コンテナなのに?」


「それはそう。本当にそうなんだけど」


 彼が困っているので、会話はそこで終了。


 それにしても。


「居心地いいね。ここ。ずっと住んでたい」


 なぜか、彼の顔がちょっと明るくなる。


「いいね。住むか。ここに」


「いいの?」


「いいのいいの。俺がオーナーなんだから」


 にこにこしながら、彼が壁にでかでかと貼ってある『この部屋は録音録画されています』の貼り紙を撤去した。


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レンタルルームの悲哀 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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