day8
ぼくが目を覚ますとそこは古ぼけた建物の中だった。窓は割れて吹きさらしで、天井には蔦がはっている。
「どうして」記憶がはっきりとしない。「そうだ、ユキコとキョウスケ」
「ようやく目を覚ましたか」とキョウスケが別の部屋から現れた。「おれたち、すっかりばかされてたみたいだな」
「ユキコは」ぼくが呼び掛けると同時にキョウスケの背後から姿を表した。よかった、みんなカストロのつくった幻影じゃなかった。
「みんな、助かったんだね」
「まあ、な」キョウスケは首もとをさすった。「おれたちは、助けられた、な」
そっと首もとに手をやる。首からぶらさがっていたそいつは、途中で切れていた。「そうか、ぼくたちは、自分達の手で」
記憶が次第に鮮明になる。ぼくたちは社会人になる前のストレスに耐えきれず、サイトを通じて集まっただけの「ぼくらは、友達ですらなかった」
「まったく、馬鹿なことをしたよ」キョウスケはまるで他人事だ。
「でも、おかげでわたしたちは会えた」ユキコはらしくないことを言った「また、明日からも」
ぼくたちは、生きるって決めた。
呪われたホテル サボテンマン @sabotenman
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