忙しすぎた一年前

 今これを書いているのは高3の夏で受験も近いのだけど、ぶっちゃけ言って高2の時の方が忙しかった。

 私の入っている部活は高2の秋で引退。高3は受験勉強に専念してね、というよくある進学校スタイルだ。ま、部活がなくなったからって勉強するとは限らないんだけどね!


  だから、高2の夏から秋にかけての最後の大会はどうしても熱が入る。

 私の入っているのは合唱なので、誰か1人でも欠けるとバランスが一気に崩れる。しかも、部活内では最上級生。必然的に上に立つことになり、後輩たちを引っ張っていかなければいけない。


 休むなんて言語道断。土曜日まで学校があるのに、日曜日も練習があることなんて珍しくはない。テスト期間は流石に部活は禁止だけど、最終科目が終わったその日の午後に部活がある、と言った生活を送っていた。


 家に帰ってもパートの後輩に連絡をしたり、同輩同士での情報共有をしたり、音取りに自主練と、まあ大変。

 パートリーダーの私ですらてんやわんやだったから、部長・副部長はもっと大変だったに違いない。他の役職もまた然りだ。同輩には本当に頭が下がる。


 でも、大変さよりもステージの楽しさと、上手く音楽を作れた時の達成感のほうがとてつもなく大きかった。尊敬できてなんでも話せる同輩たち、頼りがいがあって元気な後輩たち。

 前の代の先輩の凄さを身をもって体験して、互いに支え合いながら、持ち堪えていた。


 そんな忙しさからか、私は定期的に体調を崩すようになった。季節の変わり目には熱を出すし、食べる量も減った。部活の時は気を張っているからなんとかなるが、家に帰ると夜ご飯も食べず宿題を終わらせ即就寝。朝は早く起きて自主練、休み時間は夜できない分勉強に充てる。好きだったゲームもYouTubeもアニメも本も、全く手をつけなくなった。


 そんな生活を続けていくうちになんと高2の春まで49kgあった体重がなんと夏休みになる前に−6kg減。ダイエットなんてしてもないのに、みるみる痩せていった。

 これはおかしい、と練習の合間を縫って病院を転々とした。耳鼻科、脳神経外科、果てにはスクールカウンセラーの先生。鬱なのかも、と心療内科まで探した。どこに行っても、「ストレスかなぁ」と言われてしまい、理由はわからないままだった。


 が、かかりつけ医の一言で大学病院に行ったことで驚くべき原因が発覚する。


 お医者さんには修学旅行も部活の全国大会もやめておけと言われたけれと、大好きな部活を諦めきれず、貰った薬をフルに使い乗り切った。

 あ、みなさんは大事になる前に言われたらすぐ病院に行ってね!まあ、言いつけをガン無視した私が言えることじゃあないんだけど。


 結局のところ、大学病院に行けたのは11月の頭。北風も強くなってきた頃だった。

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