或る日のよしなしごと

足袋抜 ころも

開け放つ 木々が揺れる 一呼吸 カーテン波打つ まるで鼓動

臭わぬと 目を引く色で 書かれども 苦き味する 我は虫やむ

うすら白む 真夏の雲と 朝露や 一番蝉の 声響きたる

深夜4時 車に揺られ ラジオ聞く 雑なお題に くっくと笑う

空見上げ 無限の希望 湧きし日々 思い抱いて 地とにらめっこ

開け放つ 木々が揺れる 一呼吸 カーテン波打つ まるで鼓動

君の顔 布外し見る 初めては 告白の後 時代遡及す

夕立に 傘を開きつ 小冒険 路地を彷徨う 蝸牛かな 

星眺め 輝きつなぐ 絵空事 名前つけては 命吹き込む

からんころん 刻む足音 夕焼けに 金魚ぶら下げ 街を闊歩す

朝夕の 流れる車 人の波 コンベア上の 部品と見紛う

輩と 交わす言の葉 いまむかし 尽きぬ話題と 竹葉の夜

赤い頬 膨らまそうと 息いれる 風船2つ さくらんぼかな

寒空に 合わす手のひら 待ちぼうけ 白い吐息で 月を曇らす

だんだんと 記憶は薄れ 色褪せる 記録で残し 思い出重ねる

黄昏に 青き稲穂は 揺れ狂う いのちの絨毯 また一つ伸ぶ

夜を更かす すべき事柄 なけれども 目覚めてしまえば 朝が来るから

冬空に 木々は裸で 立ち尽くす 落ち葉のマフラー せめてもと巻く

ただいまと 雨月の燕 歌いだす 部屋数足りぬ 共生住宅

君が去り 橘の香が 愛おしく 君との想い出 また一つ咲く

風鈴の 音の下走る 昼下がり ラムネはじける 一瞬の涼

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或る日のよしなしごと 足袋抜 ころも @fu-sen

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