第2話 塗り絵のように罪はつくられ

マスコミの辞書をめくればページごとちぎられている「推定無罪」

後出しのじゃんけんのごと林家にヒ素の空き瓶現れでし


警察が玉手箱から取り出した前とは違う証拠のコップ

純度四十九のヒ素を運べば変身す七十五度の危険なヒ素へ

君らみんな大人だろうよ それなのに塗り絵のように罪はつくられ


保険金は麻薬、群がる男らを真須美がやったことにしてまえ

平成の魔女狩りとしてシナリオに夫殺しがあれば完璧

大本営発表である警察の言った通りをなぞるメディアは


(短歌の背景)

林夫妻が友人・知人に保険金をかけ、ヒ素を摂取させて保険金を受け取っていたことがわかると、捜査側は難航していたカレー事件とこれを結び付けた。保険金詐欺の片棒を担いだはずの友人・知人は「林に殺されそうになった」と証言したが、その後何度も林家を訪れている。診断書を書いた医師にはなんらおとがめなし。

「(木が茂っていて)見えるはずのない場所」から「真須美がカレー鍋にヒ素を入れたのを見た」との唯一の証言は、真須美が実際に着ていない色の服を着ていたというものだったにも関わらず採用される。

他にもヒ素の入っていたらしい容器が家宅捜査三日目で突如都合よく見つかるなど、怪しい部分が多い。

当時の和歌山県警には証拠捏造で処分を受けた警官が在籍したが「カレー事件だけは証拠捏造がない」ということで通された。

自らもヒ素を摂取した真須美の夫は「真須美に殺されかけたといえ」と警官に脅されたという。

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