子どもの四季

花邦イチ

子どもの四季

餅つきの杵より小さき赤ん坊



まだ眠いとぐずる寝癖の葱坊主



呵呵と春小さき靴より砂の滝



あと少し届きそうな手こいのぼり



水たまりのぞき込む子よ雨蛙



雨音やツーステップの子も髪も



鼻摘まむ子の二寸先のどくだみや



夏芝に寝転ぶ兄弟影さえも



幼稚園帰路に氷菓を母と分け



缶にすし詰め団子虫たちの夏



小さき手入道雲を食わんとす



洗濯機ポッケの蝉は生きていた



夏の夕牛乳のひげ舐める子よ



ゆっくりと歩く子の足みの虫と



五分かけ栗掴まんとす子ども箸



サルビアの蜜一心に吸う頬よ



干し柿を揉む子わずかに噛りにけり



逆上がり出来ぬと突っ伏す冬休み



熱の子の口ずさみたる子守唄



曾祖父の袴短し七五三





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子どもの四季 花邦イチ @Hanakuniichi

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