第5話 任務

「ギュイン」再び紫色の閃光が瞬き、BM-18のコックピットを撃ちぬいた。


アスファルトに鋼の膝を立ててBM-18は止まる…


≪ビービー≫


「警告、内部バッテリーの破損、これ以上の戦闘継続不可」

BM-18のコックピットに警告音が響き渡る。


クーパーからの返事は………しない。


「ク、ククーパー、パだいじょううぶですすか」《クーパー大丈夫ですか》

バッテリーが破損したため、音声うまく出せない。


≪ビービー≫


「てき、勢力くく反のううなしし、敵ははってったいいしたたようです」

《敵勢力反応なし、敵は撤退したようです》


「そ…うか…」

クーパーが起きた、腹からは赤黒い液体が流れている…


クーパーのかすれた声とともに黄金色の朝焼けが空を覆った。


朝焼けの光がBM-18を照らす。

それとともに鋼の巨人の瞳から灯が消える。




「うぅ…」

目が覚めると、2機の巨人が黒煙を上げて廃墟ビルの残骸に埋まっていた。


あれはSMBグループのMAKINA…


「親父は⁉」


隠れていた廃墟ビルを抜け出して

元々荒廃していた市街地を横目に親父の機体を探す。


一心不乱に親父のMAKINAを探している…痛みが引いていることも忘れて…


「親父…どこなんだよ…!」


俺は必死になって親父を探した…唯一の俺の肉親だ…失いたくない…


ビル群を抜けて大道路に出た、そこには雲の陰で日があたっていない鋼の巨人が

膝を立ててひざまずいていた。


目立った損傷は見られない……だがそんな期待とは裏腹にコクピットに

一筋の10㎝程の空洞が開いていた…


「親父 !…親…父?」


俺はすぐに駆け寄り、どうにかしてコクピットのハッチを開けようとする…


だが叩いても、蹴っても、引っ張ってもびくともしない…


この間に中の親父がどうなっているかを考えそうになるが

悪いイメージしか浮かばない…


時間が過ぎるのが遅く感じる……親父を助けなければいけないという思いや

親父が今どうなっているかを頭で整理しきれないためだ…


その時だった…ガシャンという音と共に親父が転げ落ちてきた。


「親父‼大丈夫か⁉」


親父の体を地面にぶつかる寸前で支えた。


「パーカー…か、どう…やら大…丈夫な…ようだな…」


息をハァハァとさせながら俺の顔を真っすぐと見た。


喋るという一つの動作で命が削り取られていくようだ…


「もう喋るんじゃない!」


親父のゴツゴツした手を握る、冷たさの中に温もりを感じる…


それでもクーパーは息子の目を、顔を見て苦しさを耐えて話す。

それは、パーカーに伝えなければならないからだ、一人の息子の父として…


「パーカー…お前のことを…満足に…守って…やれず…すまない…

お前の…母さんも…守れなかった…これは俺の責任…だ」


「喋るな"頼む"よ…」


「ずっと…言い出せ…なかった…すまない…パーカー…お前には…兄がいる…

お前の兄は…この先…必ず…お前の前に…立ちはだかる…だろう

でも…大丈…夫だ…なんてったって…お前は…俺の息子…だからな!」


「あぁ"…当たり"前"だ…」

顔面がグチャグチャになりながらも返事をする…


「あとは…オリバー…に伝えといて…くれ…もう逃げるなと…」


「あぁ"」


「おい…相棒…操縦者…権限を…パーカーに…移せ…」


「了解」


「相棒…パーカーを…頼んだぞ…」


「承知しました、我が戦友…」


「パーカー…お前なら…きっと…為せる」


「当たり"前だ"…俺は"!親父の"!息子だから"‼」


俺は泣き叫びながら答えた。


「あぁ…お前は…俺の自慢の息子だ…!」


親父は笑みを浮かべながら満足げな顔でこの世の幕を閉じた。





















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ゴッド オブ ウォー koto @koto1020

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