アシスタントの新米小説家が新作のヒロイン案と称して色々なキャラクター設定を至近距離で披露してきて、協力するとは言ったもののちょっと照れるんですがどうしたらいいと思いますか?
第5話 アシスタントの新米小説家が肩を揉んでくれるらしい
第5話 アシスタントの新米小説家が肩を揉んでくれるらしい
「先生! 新刊の執筆お疲れさまでした! このあと編集さんのチェックが入って、そこから修正作業がありますが、とりあえず一段落ですね!」
「お疲れでしょうからお肩をお揉みいたします!」
「いえいえ遠慮なさらずに! 少しご相談したいこともありますし、まあまあまあ」
「それではお肩失礼いたしま〜す。──いや〜凝ってますね〜お客さ〜ん。お仕事はなにを? え、小説家ですって! いやはやそれはそれは大変だ。でもさぞや儲かっているんでしょうなぁ〜。となればアシスタントのお給料を上げてやってもいいんじゃないかい?」
「なーんて小芝居はさておき、お疲れさまでした先生。編集さんのチェック終了までのあいだですけど、ひとまずのんびりしてください」
「いえいえそんな。私はいつも通り私に出来ることをしただけです」
「むしろ私の相談にまでのっていただいてありがとうございました」
「──とお礼を述べたいところなんですが、実はまだ私の相談依頼は継続中でして」
「ええ、そうなんです。申し訳ないのですがもう少しだけお付き合いください」
「先生に私の新作のヒロイン案を三つ見ていただいて、三つのヒロイン案が固まったじゃないですか」
「そうです。『清楚でお淑やかだけどヤンデレな幼馴染』『元陸上部だった先輩を慕い敬いつつも猟奇的な食いしん坊ギャグをいう後輩』『オンラインゲームで仲良くなったダウナーたまにエチデレ系ボクっ娘ゲーマー』の三つです」
「で、私この三つのヒロイン案からどれを新作に採用しようかと、ここ数日もみもみ考えているんですが──」
「どの案もいい! どの子もかわいい! どうする!? どうする私!? ってなっておりまして、肝心の執筆作業が全然まったくこれっぽっちも進んでいないんですよ」
「いや〜悩ましい。どの子もいい。どの子もヒロインをはれる。先生のアドバイスもありどの子もウルトラキュート」
「え? 特にアドバイスはしていない? ツッコミいれてただけ? またまたご謙遜を」
「で話しを戻しますが、どうしたらいいと思いますか先生? どの案、どの子を私の新作のヒロインにするべきか。先生でしたらどの子をヒロインにしますか?」
「全員ヒロインにすればいい? おっとおっと、これはまさかの欲張りセット。先生まさかの三股宣言」
「人聞きの悪いこというな? まあまあまあ、お肩もみもみしますから許してください。もみもみもみもみ」
「いやでも──実際そうですね。選べないなら選ばないっていうのも一つの手ではありますよね。なるほど……」
「よし! わかりました! そうします! 私の新作は個性豊かなヒロイン三人体制の欲張りセットにしちゃいます!」
「先生! ありがとうございます! 先生に相談してよかったです! これで執筆作業に入れそうです!」
「よ〜し、書くぞ書くぞ〜。編集会議突破しちゃうぞ〜。大ヒット作、作っちゃうぞ〜。もみもみもみもみ〜」
「へ? 編集会議突破したらアシスタント卒業?」
「いやいやいやいや、なにをおっしゃっているんですか先生。しませんしません。卒業しません。まだまだ私は先生のアシスタントの座に居座りますよ」
「編集会議突破しても、いままで通りノートパソコン持ち込んで先生のお宅でアイデア練りますし小説も書きます。そしてその合間に先生のサポートをいたします」
「なんてったってお給料がいいですから、先生のアシスタント」
「ええそうです。私は先生のお金が目当てです。保険金の受取人も実は私です」
「──なんて保険金うんぬんの冗談はさておき。実際問題、私はまだまだ駆け出しの新米小説家なので、小説一本では全然食べていけません」
「私の暮らしは先生からいただいているお給料で成り立っている状況でして、先生に養っていただいていると言っても過言ではありません」
「感謝感謝です。ありがとうございます」
「いやもちろん、私が先生のアシスタントをやめない理由はお給料がいいだけではありません。空き時間がたくさんあるのもグッドポイントです」
「小説のアイデアも練れますし執筆もできる。眠くなったらお昼寝をしたっていい。ああ至福」
「はい、ちょくちょくお昼寝してます。先生が作業部屋で悩んでいる時、私は隣のリビングですやすやぐっすりだったりします」
「まあまあまあ、寝る子は育つといいますから。小説家として大成するために必要なお昼寝なんです」
「まあそんなこんなで、私からしたら先生のアシスタントはまさに理想の職場。永久就職したいくらいです」
「ちなみになんですが、最近は『通うよりここに住んだほうが楽なのでは?』と思っておりまして」
「どうにかして先生のお宅に居候できないものかと画策しているのですが、どうですかね? 今ならお肩さんもみもみサービスもついてきますが。もーみもーみ」
「ダメ? まあさすがにそうですよね。ここだと私が寝起きする部屋がないですし」
「先生がお引越しされて部屋が増えれば問題解決なのですが、この案はいかがでしょうか」
「これもダメ? むむむむむ……この案もダメとなると万策尽きたり……もみ……もみ……」
「──とまあ、なんだかんだと言いましたけど、つまるところ私はまだまだ先生のアシスタントはやめないということです!」
「まだまだお世話になりますし、まだまだお手伝いさせていただきます!」
「これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします! 先生!」
アシスタントの新米小説家が新作のヒロイン案と称して色々なキャラクター設定を至近距離で披露してきて、協力するとは言ったもののちょっと照れるんですがどうしたらいいと思いますか? みけきゃっと @Kit_mike_Cat
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