第4話 アシスタントの新米小説家がゲーマーになるらしい

「先生はこのゲームプレイしたことありますか?」


「なるほど、デビュー前のゴミ屋敷時代に結構やっていたと。じゃあ大丈夫ですね。なんだったら私より上手い可能性もありますね」


「そうです。今日はゲームを一緒にプレイしたいと思います。なぜなら三つめのヒロイン案がゲーマーだからです」


「そういったわけで本日の私はダボダボパーカーにヘッドセットという、テンプレゲーマー女子の格好をしているのです」


「いかがですか? 萌え袖ですよ萌え袖。そしてヘッドセットという機械感のアンバランス。さあ! 先生へのささり具合はいかほどに!」


「はい! 結構好きいただきました! ありがとうございます!」


「じゃあ早速ゲームをしましょう! ──え? 真横で一緒にやるのにヘッドセットいるのかって?」


「……たしかに。いらないですねこれ。むしろ邪魔といっても過言ではない。まあまあまあ、でも雰囲気って大事ですから。首にかけておくことにしましょう」


「ちなみに三つめのヒロイン案の設定は『オンラインゲームで仲良くなったダウナーたまにデレ系ボクっ娘ゲーマー』です。よろしくお願いします」


「そしてワンシーンは『主人公の部屋で隣りあってFPSをレッツプレイ』です」


「準備オッケーですか? ゲームは起動……してますね。それじゃあレッツプレイあーんどアクション! カチャコン!」


「──じゃあ……今日もよろしく」


「アプデ入って、結構環境変わったみたいだから、まずは軽く、そこらへんみる感じでいいんじゃない?」


「うん、だね。まずはオープンで新武器と新ステみて、そのあとランクマいく感じで」


「うん、よろしく」


「さて、新マップは……高低差あるね。僕のメインキャラだとちょっと不利かも」


「新武器拾った? マガジンに100発? 弾幕系の武器なのかな?」


「右方向に敵発見。スモーク投げるからそれに合わせて突撃で」


「ナイスキル。こっちも問題なし。回復ある? 渡そうか?」


「なるほど、新武器弾がとけると。でもDPS高めで接近戦強そうな感じなんだね」


「あ、ごめん、ダウンした。そっちは──厳しいか。うん。あー……残念」


「ふぅ……まあアプデ後の初戦だからね。どうする? とりあえずハグする?」


「しない? そう。いや元気でるかなって思って」


「じゃあランクマいこうか。なんとなくアプデの雰囲気はつかめたし」


「前敵3。左からも銃声。お、ナイスグレネード」


「弾ある? ん、ありがと」


「上取りたいけど──んーーやーられた。おしい」


「ナイスファイト。新マップの構造はやっぱり上取った方がかなり有利だね。次は人数減ったら上取りにいく動きでいこうか」


「じゃあとりあえずおへそ見る? お腹なでなでしとく?」


「見ないししない? そう。いや気合い入るかなって思って」


「じゃ三戦目、お願いします」


「いいね。ナイスナイス。アイテムも結構いいの拾えてる」


「オッケーオッケー。回復する回復する」


「よし、いけるいける。いっ──たぁ! ナーイス! ナイスチャンピオン」


「お疲れ〜。いや〜よかった。三戦目よかった。ナイスキルナイスカバー」


「じゃあどうする? とりあえずチューする? 一緒にお風呂でも──」


「え? ちょい待てですか? はてさて、何か問題ありましたか?」


「スキンシップの提案が過激? ハグはまだしも後半はレッドカード?」


「いやはや先生、なにをおっしゃいますやら。デレですよデレ。ダウナーたまにデレ系ボクっ娘ゲーマーですから。これくらいはデレていただかないと」


「デレの域を超えている? ラインを3,000kmオーバー?」


「3,000km……日本列島のはじからはじまで……。そう言われると、たしかにデレの域を超えているような気がしないでもない……」


「いやでもボクっ娘ゲーマーちゃんはこのままのキャラでいきたいですし……」


「わかりました! じゃあボクっ娘ゲーマーちゃんの設定は『オンラインゲームで仲良くなったダウナーたまにエチデレ系ボクっ娘ゲーマー』にランクアップさせます!」


「ゴールドランクからダイヤモンドランクに昇格です! いかがですか先生!」


「いいですよね! ありがとうございます! 読者層にもささりそうですよね! 商業的にも、ちょっとえちちあちちなキャラがいた方が売れそうですもんね!」


「はい! 刺激の強い表現にはならないように気をつけます! マイルドかつソフトな言葉にします!」


「先生、今日もお付き合いいただきありがとうございました! 三つめのヒロイン案もバッチリ固まりました!」


「あ、そうだ。あと一つお聞きしたいのですが、先生用に買ってきたゲーム機代って経費で落ちますか? 三万円くらいしたんですが」


「え!? 落ちない!? なんでですか! 先生のために買ってきたんですよ!」


「仕事に使ったわけではないから落ちないですか……」


「──わかりました。じゃあ先生、三万円ください。私にお小遣いとして三万円ください。ボーナスですボーナス。普段がんばっている私にご褒美をプリーズです」


「ありがとうございます。ありがたく頂戴いたします。ありがたやありがたや」


「感謝の印に明日のご飯は少し豪華になります! 期待していてください! まあいつも通り材料費は先生持ちですけども!」


「さてそれじゃあ、三つめのヒロイン案も固まり、経費という名のポケットマネーもいただきましたし、せっかくなのでもう少し一緒にゲームで遊びましょう!」


「次は落ちもの系で私と勝負です! 対戦よろしくお願いします! 先生!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る