人の履歴が覗ければ大抵のことは上手くいく

腐乱田

プロローグ 

 「やあ少年。君の願いを3つだけ、叶えてやろう。」

 送りつけられたオルゴールから、魔人と名乗る体躯の良い男があらわれた。

 「君は幸運だよ。なんてったって、神界での抽選に当選したんだからね!」


▼△▼△▼△


 天池浩一あまいけこういちは不運な人間である。

 身長は161センチ、顔も悪い。鈍臭く、運動も殆どできない。

 ただ、頭だけは良かった。悪知恵がよく働くと友達にも言われるくらいだ。


 家に帰ると、玄関の前に小さな段ボールが置いてあった。

 宛名は自分だった。まあ新作のゲームかなにかだろう。

 部屋で開けると中身はオルゴールだった。頭の中にクエスチョンマークが浮かんだが、「とりあえず聴いてみよう」

とネジを回した。


 手を離した瞬間、眩い光が放たれて__


「魔人パトラッシュ、ここにあり!!」

 野太い声が部屋に響いた。目を開けると、そこには半裸の男がいた。

 いわゆるアラジンのような青い肌でも、アラビアンなよく焼けた肌でもない、真っ白な肌に髭の生えた男前の面が、俺を圧倒した。

 「やあ少年。君の願いを3つだけ、叶えてやろう。」

 まだ事態が飲み込めていない俺に、魔人とやらは続けた。

 「君は幸運だよ。なんてったって、神界での抽選に当選したんだからね!」

 なんとなく納得した。今までの不幸はこのためにあったんだ!

 そうと分かれば願いを言わなくてはいけない。早急に。


 願いは3つだ。いかに効率的に多くの願いを詰め込まなくてはいけない。


 __決めた。


「3つ、だよな?」

「ああそうだぜ!おっと、願いを増やす願いは無しだぜ!」

「OKだ。

_俺の願いは

「高身長イケメンだったことにすること」

「月5万の定期収入を得ること」

そして……

「他人のあらゆる履歴を見ることができるようになること」

この3つだ。構わないね?」

「構わないぜ。お前はずる賢いやつだな。」

「悪いか?」

「最高だ!これくらい求めてくれないとな!」


こうして、俺は高身長イケメンの異能力者となった。

ここから、僕の生活のボルテージは加速していくことになる。

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人の履歴が覗ければ大抵のことは上手くいく 腐乱田 @kf_4416

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