僕も、彼の彼女のように、彼に愛してもらいたい
白川津 中々
▪️
愛しているのは事実だった。
伝えられないのは、彼が男だから。
そう、それもある。けれどそれだけじゃない。彼は僕を愛していないし、今後愛さない事も知っているからだ。
彼には彼女がいる。艶やかな黒髪が少しだけ目元を隠して、控えめに笑う、可愛らしい子。
僕は彼女も好きだった。遠慮がちで優しい、裏表のない彼女を嫌いにはなれなかった。
彼と付き合っている事を知ってもそれは変わらなかった。行き場のない感情が涙となって溢れても、彼女を恨んだりする事はなかった。
けれど、彼が彼女の事を名前で呼んで、彼女が彼の事を名前で呼んで、彼が彼女を抱きしめて、彼女が彼を抱きしめて、彼が彼女にキスをして、彼女が彼にキスをして、お互いに、お互いに愛し合っているところを見ると、僕はどうしても、どうしても、どうしようもなくなるのだった。
彼は僕を愛していないし、今後愛さない事も知っている。
けれど、あぁ、けれど。
僕も、彼の彼女のように、彼に愛してもらいたい。
僕も、彼の彼女のように、彼に愛してもらいたい 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます