彼女の心は、締め付けられていた
白川津 中々
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彼女の顔は醜かった。
誰かと話すと二言目には容姿の話題となり、決まって彼女の顔が嘲笑の種となった。直接的な中傷もあれば、気遣いふりをして貶める者もいる。曰く、「貴女は綺麗だよ」である。その都度、彼女は「だったらお前の顔と私のこの顔を取り換えてくれないか」と叫びたくなったが、ぐっと堪えた。醜い人間が擁護されているという事実ができてしまっている以上、幾ら自分に正当性があったとしても、世間はそれを認めない。顔の悪い人間には基本的な人権さえ一部認められていないのだ。
そのため彼女は自己を防衛するために自虐に走った。「私不細工だから」「顔はこんなだけどいい女なんですよ」などと軽口を叩く。しかしその度、きしり、きしりと心が締め付けられるのである。
今日も彼女は偽りの笑顔の奥で泣いている。しかし、それに気が付く者はいない。誰もが彼女を見世物のように眺めて笑っている。
彼女の心は、締め付けられている。
彼女の心は、締め付けられていた 白川津 中々 @taka1212384
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