星の子フェルネとレラ

「《烈風と大地の惑星ウィンディア フェルネ》出ておいで」


『わふっ!』


 ユウの言葉と共に、体長がレラの膝頭程の銀毛の仔狼が出現した。ユウを見上げては、嬉しげにユウとレラの周りをくるくると走り始める。


「あはは。外に出るの久し振りだから嬉しいよね。フェルネ、ちょっと周りを見ててもらえるかな? ご飯作りたいんだ。後で美味しいお肉あげるから」

『!』


 尻尾を盛大に振ったフェルネは立ち止まり、お座りの態勢でユウに前足を差し出した。お手、のポーズである。


「ありがとう。今日もよろしくね」


 ぽん。


 フェルネはユウが差し出した手に片足を乗せた。

 

「いい子だね」

「……フェルネ。お手」


 レラがしゃがみ、片手を差し出した。


 ぽふ。


 フェルネはレラの頭にお手をした。


「……喜べ、私は寛大だ。もう一度だけチャンスをやる。お手」


 青筋を立てながら微笑んだレラ。


 ぽし。


「うぷ」


その鼻に、フェルネのお手が乗った。レラの顔が真っ赤に染まり、その手元に身長を遥かに超える大鎌が出現した。


「喜べ。貴様の命日は今日だ」


 ふんっ!


 フェルネはソッポを向いた。


「そこを動くな貴様ああぁぁ!」

『わおーん! わうわうわうわうっ!』


 駆け出すフェルネを、大鎌を構えたままレラが追う。


「ありゃりゃ。ご飯を作っておくからね……って聞こえないか。レラ、何だかんだ言って星の子達の遊びにとことん付き合ってくれるもんね。ありがと、レラ。……さて、何を作ろっかな」


くすくすと笑いながらユウはストレージ無限空間からテーブルセットと調理器具や食材を次々と取り出し、準備に取りかかったのであった。


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【ドラゴンノベルズ】Stargazer ~星喰いと呼ばれた少年と死を奏でる少女~ マクスウェルの仔猫 @majikaru1124

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